卵巣刺激低反応予測患者のための新しい基準(POSEIDON基準)
卵巣刺激低反応患者の基準として有名なのはBologna criteria(ボローニャ基準)で、
①40歳以上、あるいは他のPORリスク因子(ターナー症候群、FMRI遺伝子変異、卵巣手術既往、抗がん剤治療後など)
②標準的な卵巣刺激の採卵において3個以下の回収卵子数
③AMH < 0.5~1.1 ng/mL、あるいはAFC(胞状卵胞数)< 5~7個、のうち少なくとも2つの項目を満たすもの
とされています。ただ、この基準は①、③は予測因子であり、②は一度卵巣刺激をした結果を交えての項目のため、もう少し細分化した基準が必要なのではと議論がたちあがりました。その一つがPOSEIDON groupです。
POSEIDON(Patient Oriented Strategies Encompassing IndividualizeD Oocyte Number)グループは、卵巣刺激での低反応が予測される患者の診断と管理について、実践的な解決策を議論し、検討することを目的として2015年に設立されました。 このグループは、7カ国の生殖医療分野のオピニオンリーダー12名で構成されています。 POSEIDON層別化は4つにわかれています。分類は以下の5つの点に配慮されて作成されています。
- ゴナドトロピン(FSH/HMG)刺激に対する卵巣刺激により低反応であったGroup1、2と予測される患者のGroup3、4に分類しています。
- 新しい成功の指標である「各患者さんに少なくとも1つ正常核型胚を移植するための必要な回収卵子数」を達成するため指標となっています。
- 患者へPOSEIDONでの妊娠までの予測をたて、妊娠・出産までの期間を短縮するための計画を立てることができるようになります。
- 体外受精低予後のPOSEIDONコンセプトは、患者さんに合わせた個別化治療アプローチを促進することで、管理の改善を目指します。
- 分類は臨床試験のためのより均質な集団を特定することに貢献し、報告によりばらつきを軽減し体外受精の成功率を最大化するための指標となりえます。
私たちの施設では、POSEIDON基準を体外受精治療説明として標準採用をすすめております。ブログで様々な角度からご紹介させていただきます。
・Bologna(ボローニャ) 基準
Ferraretti AP, et al : ESHRE consensus on the definition of 'poor response' to ovarian stimulation for in vitro fertilization: the Bologna criteria. Hum Reprod. 2011 ; 26 : 1616-24.
・POSEIDON基準
Alviggi C, et al : A new more detailed stratification of low responders to ovarian stimulation: from a poor ovarian response to a low prognosis concept. Fertil Steril. 2016 ; 105 :1452-3.
文責:川井清考(院長)
お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。