体外受精に使われる培養液はどんな種類があるの?

体外受精には多くの培養液が使われています。体外受精のスタートである「採卵」から受精卵をお腹に戻す「移植」に至るまでに使われている培養液の種類(数)と役割について簡単に紹介したいと思います。

①リン酸緩衝液(PBS)
採卵の時、卵胞の中の洗浄に用います。

②体外操作用培養液
お腹から取り出した卵子を一時的に保管するときに用います。また、顕微授精の際、卵子の中に精子を注入する時にも用います。

③精子調整液
御主人からお預かりした精液の中から質の良い精子を集めるために用います。一回の操作で2種類の精子調整液を用います。

④精子凍結液
採卵当日に御主人がいらっしゃれない時の為等、精子の凍結保存に用います。

⑤受精用培養液
お腹から取り出した卵子を受精させるまでの培養に用います。また、媒精では、この培養液の中で卵子と精子の受精に用います。

⑥酵素(ヒアルロニダーゼ)
顕微授精の際、卵子の回りを取り囲んでいる粒々の細胞(卵丘細胞)の除去に用います。

⑦精子賦活化液(ペントキシフィリン)
運動性が認められない精子の運動性の賦活化に用います。

⑧精子選別用培養液
顕微授精の際、成熟精子の判別に用います。

⑨精子不動化処理液(ポリビニルピロリドン)
顕微授精の際、精子不動化に用います。

⑩卵子活性化液(カルシウムイオノフォア)
顕微授精において、卵子の活性化処理に用います。

⑪受精卵用培養液
受精卵の培養に用います。当院では3社の培養液を常備しており、過去の治療歴から使い分けをしております。

⑫卵子・受精卵凍結液
受精卵の凍結に用います。一回の凍結操作で2種類の凍結液を用います。

⑬卵子・受精卵融解液
受精卵の解凍に用います。一回の融解操作で4種類の融解液を用います。

⑭胚移植用培養液
受精卵をお腹の中に戻す時に用います。

以上、培養室では体外受精一工程の為に常に全部で14種類、合計22本の培養液を常備しています。それぞれの培養液には使用期限が約2-3ヶ月ありますが、開封以降は使用期限を1週間として厳密に管理しています。

文責:平岡(培養室長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。

亀田IVFクリニック幕張