亀田生殖グループでの二個胚移植と多胎率(2020年10月現在)
2020年10月現在の亀田IVFクリニック幕張開設以来の二個胚移植のデータをお示しします。
当院で行なった移植胚数の割合は単一胚移植(平均年齢 37.1歳):85.1%、初期分割期胚と胚盤胞期胚の2段階移植(平均年齢 40.5歳):3.7%、二個胚移植(平均年齢 40.9歳):11.2%でした。
移植あたりの臨床妊娠率は単一胚移植:39.0%、初期分割期胚と胚盤胞期胚の2段階移植:35.0%、二個胚移植: 29.5%、多胎率は単一胚移植:1.2 %、初期分割期胚と胚盤胞期胚の2段階移植:15.8%、二個胚移植: 19.6%でした。
もちろん、「生殖補助医療における多胎妊娠防止に関する見解」を遵守しておりますが、平均年齢40歳前後でも妊娠したら二個胚移植を行うと約15-20%の患者さまが双胎として分娩に至ることがわかります。
また単一胚移植でも1.2%の一卵性多胎が生まれており、これを考えると二個胚移植で品胎(3児)の可能性もでてきます。
≪私見≫
当院では、医療の透明化を進めています。どこまで透明化がいいのかわかりませんが、患者様にとっては提供される医療がどのような成績を期待できるものなのか、そして生殖医療施設に身を委ねるのではなく、共に不妊治療にタッグを組んで立ち向かっていこうという判断材料になるかと思っています。我々医療従事者にとってもメリットがあり、成績の向上もそうですが、一番は提供している医療のクオリティーの担保と評価を随時検討できるメリットもあります。
実際は、このクオリティ・マネジメントはそう簡単ではなく、亀田グループの中に専門部署があるだけではなく、亀田IVFクリニック幕張内に独立して品質管理部門を設置し筋野室長を中心に、常に成績をモニタリングしています。今、何より解析に力をいれているのが、有害事象の情報収集です。多くの生殖医療施設のホームページに成績が高いということを記載されているページがありますが、その裏で苦しんでいる患者さまがいることは殆ど見えてきません。10月より東京医科歯科大学周産・女性診療科で生殖医療を専攻している光井先生にもジョインしていただき開設以来の周産期予後や手術後の妊娠予後などを全て纏めているところです。今後も不妊治療を患者様にわかりやすいものにするために小さいことではありますが、一クリニックからでも発信し続けていきたいと思っています。
文責:川井(院長)
お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。