MiOXSYS®について

MiOXSYS®︎は精液中の酸化ストレス度を測定し、間接的に精子核DNAの状態を評価します。原理としては電気化学的原理を利用し、精液中の分子間を動く不安定な電子量を酸化力と還元力の総合バランスとして評価することにより、酸化ストレス度を数値化する装置です。

酸化ストレスは、男性不妊症の最も重要な原因の一つです。原因不明の精子形成障害や精索静脈瘤などで上昇すると言われています。高酸化ストレス状態と判定された場合は、男性不妊外来を受診していただき、生活習慣のヒアリングから始まり、抗酸化作用がある成分を含むサプリメントや同効果が期待できる漢方薬などを検討します。

不妊で原因がみつからない場合、偶然妊娠していないという場合を除き、「原因があるけど今の医療ではわかっていない、もしくは原因がわかっているが臨床現場に汎用性をもって提供できるアプリケーションがない」のどちらかだと思っています。そう考えると80%近く、原因不明と言われる男性側を追求することで良い結果にたどり着くのではないでしょうか。

ただし、無作為に検査をしても患者様の費用負担が増えるだけですし、まだまだMiOXSYS®はじめDNA断片化検査の評価法には、①様々な検査があり標準的な検査や基準値が定まっていない、②同一個人でのばらつきが大きい、③検査で使用した精子をICSIで使用することはできない などから全ての患者様に推奨するのは時期尚早と米国生殖医学会(ASRM)でも記載されています。

当院では、Agarwalらの精子DNA断片化検査の評価法の適応に従い、以下の患者様中心に勧めさせていただいています。

精子DNA断片化の評価の適応(すべて推奨グレードC)
・原因不明の不妊
・繰り返す流産/IUI・IVF不成功
・精索静脈瘤
・ART施行前
・リスクのある生活習慣
・環境の毒性物質への暴露

私たちの方でも適宜成績や最新の論文紹介などを行って参ります。
当院の男性不妊に関するページにも詳しく記載しています。ページが見つけづらいとよく言われますが、是非こちらも参考になさってください。
https://medical.kameda.com/ivf/patient/lp/002/index.html

文責:川井(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。