排卵直後卵胞径からのランダムスタート結果を予測する(J Assist Reprod Genet. 2025)
【はじめに】
Ovarian follicle wavesは1月経周期に2-3回あるとされています。この概念に基づきランダムスタートがコンセンサスを経て黄体期卵巣刺激、DuoStimが開発され卵巣予備能低下患者や卵巣反応不良患者の治療選択肢として注目されています。排卵直後卵胞径からのランダムスタート結果を予測することを目的とした報告をご紹介いたします。
【ポイント】
黄体期卵巣刺激開始時の卵胞径が小さいほど(特に5mm未満)、卵子回収率、成熟卵子回収率、2PN率が向上します。
【引用文献】
Jifan Tan, et al. J Assist Reprod Genet. 2025 Feb 11. doi: 10.1007/s10815-025-03421-9.
【論文内容】
自然排卵後に黄体期卵巣刺激(LPOS)プロトコールを開始する際の最適な卵胞径を調査し、より良い卵巣刺激結果を達成することを目的としたレトロスペクティブコホート研究です。
自然排卵後にLPOSプロトコールを開始した286周期の体外受精周期を分析しました。開始時の卵胞径に基づいて3つのグループに分類されました:小径卵胞グループ(SDF、<5mm、n=74)、中径卵胞グループ(MDF、5.0~7.9mm、n=140)、大径卵胞グループ(LDF、≥8mm、n=72)。線形回帰分析を用いて、初期卵胞径と卵巣刺激結果の関係を評価しました。
結果:
グループ間でAMH、BMI、初期ゴナドトロピン投与量に差が認められました。主要評価項目である卵子回収率(SDF vs. MDF vs. LDF:0.92±0.88 vs. 0.68±0.48 vs. 0.58±0.54、p=0.004)、成熟卵子回収率(0.78±0.74 vs. 0.58±0.43 vs. 0.51±0.50、p=0.01)、2PN率(0.58±0.68 vs. 0.44±0.40 vs. 0.36±0.43、p=0.03)はSDFグループで高いことが示されました。年齢、AMHレベル、基礎FSH、BMI、初期Gn投与量などの潜在的な交絡因子を調整した多変量回帰分析では、初期卵胞径と卵子回収率(p=0.02)、成熟卵子回収率(p=0.02)、および2PN率(p=0.04)との間に負の相関が明らかになりました。
【私見】
クライテリアは(1)POSEIDON分類1a、2a、3、または4に該当する患者、(2)BMI 18.5〜24.0、(3)自然排卵周期。除外基準は(1)黄体未破裂卵胞、(2)hCG、組換えhCG、またはGnRHアゴニストによるトリガーを行った症例、(3)甲状腺疾患、副腎障害、糖尿病などの内分泌疾患、(4)肝臓病、腎臓病、心血管疾患などの全身疾患、(5)卵巣腫瘍/嚢胞がある患者としています。
卵巣刺激は排卵後2日目に、初期卵胞径とAFCを測定。レトロゾール 5mg/dayとHMG 150〜300 IU/dayの連日投与が開始し、主席卵胞が直径18mmに達したとき、10,000 IU hCGを投与し採卵を実施しています。
実際みているとLDFグループはSDFグループに比べてAMHが低い人に多く、排卵直後にして既に卵胞発育が起こっているのでしょうか。結果として卵巣刺激日数もLDFグループはSDFグループに比べて短くなっています。
データを眺めれば眺めるほど勉強になる報告です。
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文責:川井清考(院長)
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