月経周期の特徴と妊孕性(Fertil Steril. 2024)
月経周期の特徴と妊孕性の関係は賛否が分かれます。月経周期の長さ、初経の時期、月経血期間など様々なポイントで関連性が議論されています。卵巣予備能の低下、生活習慣、そのほかの合併症など様々な要素が絡み合っているので一律で患者様を不安にさせるような発言は慎むべきですが、2024年現在での月経周期の特徴と妊孕性のシステマティックレビュー・メタアナリシスが報告されましたのでご紹介いたします。
≪ポイント≫
月経周期の特徴と妊孕性は何らかの関係がありそうです。月経に何らかの異常があると不妊原因が隠れている可能性もありますので、妊娠を希望される場合は婦人科受診を一度検討されるのもプレコンセプションケアの一環でよいかもしれません。
≪論文紹介≫
Yingqi Cao, et al. Fertil Steril. 2024 Jun 25:S0015-0282(24)00547-8. doi: 10.1016/j.fertnstert.2024.06.016.
生殖年齢女性の月経の特徴と生殖能力の相関関係を調査したシステマティックレビュー・メタアナリシスです。2024年2月9日までに発表された研究論文を特定するために、PubMed、Embase、Web of Science、Cochraneライブラリを使用して包括的な文献検索を実施しました。経口避妊薬の投与、生殖補助医療実施症例、不妊症である症例を対象とした研究は除外しました。主要評価項目は臨床的妊娠および流産としました。
結果:
399966名女性を対象とした9件報告を対象としており、証拠の質は高く、バイアスのリスクは低いと判断しました。通常月経周期(25~32日)と比較した場合、月経周期が短い(<25日)または長い(>32日)ことが妊娠率に及ぼす影響は、比較的軽微であることがわかりました(短い:OR 0.81;95%CI 0.6 5–1.01; I2 68%; 長い:OR 0.89; 95%CI 0.75–1.06; I2 60%)。月経周期の長さは流産リスクを高める可能性があります(短い:RR 1.87;95% CI 1.11-3.15;I2 0; 長い:RR 1.66;95% CI 1.07-2.57;I2 43%)。初経が標準年齢(12~14歳)ではじまった女性と比較すると、初経が遅い(>14歳)女性では妊娠率が低下することがわかりました(OR 0.92;95%CI 0.91-0.93;I2 0%)。月経血期間が正常(4~7日)な女性と比較すると、月経血期間が短い(<4日)女性は妊娠率が低下することがわかりました(OR 0.86;95% CI 0.84–0.88;I2 29%)。
≪私見≫
月経周期は問診票に必ず記載されていますので、超音波と合わせて妊孕性低下を疑うヒントになりそうですね。
国内基礎体温アプリによる国内女性の月経周期の特徴(Reprod Med Biol. 2023)
https://medical.kameda.com/ivf/blog/post_960.html
月経開始日は曜日依存性がある(Fertil Steril. 2024)
https://medical.kameda.com/ivf/blog/post_1211.html
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文責:川井清考(院長)
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