内膜の見え方(リーフレットパターン)と生殖予後(Reprod Med Biol. 2024)
増殖期の子宮内膜の見え方を私たちは気にします。リーフレットパターンという内膜中央のエコー線がきれいに存在する時が良い印象があります。過去のレトロスペクティブ報告では、子宮内膜厚が8mm以上、リーフレットの場合、臨床的妊娠率が高くなるが流産率と生児出生率は変わらないとされていました(30歳前後、複数胚移植含む)。Wei Yang, et al. Medicine (Baltimore). 2018 Jan;97(2):e9577. 今回、国内のホルモン補充周期単一胚盤胞移植での報告がでてきましたので、ご紹介いたします。
≪ポイント≫
ホルモン補充周期では内膜が綺麗なリーフレットパターンの方が、生殖予後がよさそうです。
≪論文紹介≫
Kazutaka Kuramoto, et al.Reprod Med Biol. 2024 Sep 9;23(1):e12599. doi: 10.1002/rmb2.12599.
ホルモン補充周期の移植日決定する際の内膜の見え方で単一胚盤胞凍結融解胚移植(35歳以下)の妊娠転機と関連があるかどうかを調査することを目的としたレトロスペクティブコホート研究です。移植胚はガードナー分類の3CC以上、ホルモン補充周期は内膜厚7mm以上のプロゲステロン補充前で評価しています。事前に慢性子宮内膜炎は薬剤治療、ポリープは切除術を実施されています。子宮内膜パターン分類は、①リーフレットパターン:中央のエコー線が存在し、その全長にわたって切れ目がない、②部分リーフレットパターン:中央のエコー線が存在するが、ところどころ不連続、③非リーフレットパターン:中央のエコー線がはっきりしない、としました。
結果:
1,383周期のうち、483周期がリーフレットパターン、840周期が部分リーフレットパターン、60周期が非リーフレットパターンでした。リーフレットパターンで無くなるにつけて臨床的妊娠率(リーフレットパターン:70.4%、部分リーフレットパターン:58.1%、非リーフレットパターン:28.3%)および生児出生率(56.3%、45.5%、15.0%)が低下し、流産率(20.0%、21.7%、47.1%)が増加しました。ロジスティック回帰では、リーフレットパターンでは非リーフレットパターンに比べて臨床的妊娠率と生児出生率が高く、流産率が低いことが示されました{OR(95%CI):臨床的妊娠率 6.07(3.24-11.37)、生児出生率 7.43(3.47-15.39)、流産率 0.20(0.07-0.57)}。
≪私見≫
この報告は、非リーフレットパターンから部分リーフレットパターンに同一患者で変わった7症例(そのうち6名生児出生)を分析しています。(リーフレットパターンになった症例はなかったようです)。初回胚移植前に3例ファイバーしていて、異常なし、癒着剥離、ポリープ切除でした。2回目胚移植前に4例ファイバーしていて、CE薬物治療、CE薬物治療+ポリープ切除、ポリープ切除、癒着剥離としています。2回目癒着剥離後の移植症例のみ妊娠していません。
やはり、リーフレットに見えない場合は早めのファイバーを検討されてもよいのかもしれませんね。
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文責:川井清考(院長)
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