卵巣予備能低下の頻度(J Clin Med. 2023)

卵巣予備能低下の女性の割合ってどの程度いるのでしょう。同じアジアのビッグデータで韓国からの報告があります。ご紹介いたします。

≪ポイント≫

卵巣予備能低下の頻度は20-24歳 3.8%、25-29歳 6.0%、30-34歳 11.0%、35-39歳 28.6%、40-44歳 69.3%、45-49歳 95.0%でした。

≪論文紹介≫

Rihwa Choi, et al. J Clin Med. 2023 Aug 3;12(15):5099.  doi: 10.3390/jcm12155099.

韓国の生殖年齢女性の大規模集団における卵巣予備能低下の有病率を、血清AMHおよびFSH値の異なるカットオフ値を用いて年齢別および地域別に評価しました。2022年にAMHとFSHの両方の検査(Elecsys)を受けた13,351名を対象としました。卵巣予備能低下率は年齢とともに増加しました。卵巣予備能低下の全体的な有病率の最大有病率は、20-24歳、25-29歳、30-34歳、35-39歳、40-44歳、45-49歳の女性において、それぞれ3.8%、6.0%、11.0%、28.6%、69.3%、95.0%でした。AMHが低下せずに血清FSHのみが上昇した女性は、全女性の1.1%-2.5%でした。

≪私見≫

この論文面白くて取り上げました。体外受精前提であればAFCやAMHでの議論が多いのですが、プレコンセプションケアなどを前提にすると採血メインのほうがいいですよね。FSH単独の卵巣予備能低下はほとんどいないことがわかります。
ACOG/ASRMの卵巣予備能低下の基準は、AMH<1ng/mLおよびFSH>10mIU/mLとしています。
committee opinion. Fertil. Steril. 2020;114:1151–1157. doi: 10.1016/j.fertnstert.2020.09.134.
韓国の卵巣予備能低下の基準は、AMH≦1.0ng/mLおよびFSH≧12.0mIU/mL としています。
Ministry of Health and Welfare Korea. Mother and Child Health Service by Mother and Child Health Act.

韓国基準(AMH≦1.0ng/m FSH≧12.0mIU/mL cutoff)

  全体 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳
人数 13351 1280 2049 2874 2269
正常 61.5% 96.2% 94.0% 89.0% 71.4%
AMH のみ 18.6% 1.9% 2.7% 5.6% 14.9%
FSH のみ 2.5% 1.6% 2.3% 3.0% 4.3%
AMH FSH両方 17.4% 0.4% 0.9% 2.5% 9.4%
AMH FSH片方 38.5% 3.8% 6.0% 11.0% 28.6%

ACOG/ASRM 基準(AMH<1ng/mL FSH>10mIU/mL cutoff)

  全体 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳
人数 13351 1280 2049 2874 2269
正常 62.8% 97.2% 95.5% 90.6% 73.4%
AMH のみ 21.0% 1.9% 3.0% 6.2% 17.8%
FSH のみ 1.1% 0.5% 0.7% 1.3% 2.0%
AMH FSH両方 15.2% 0.4% 0.8% 1.9% 6.9%
AMH FSH片方 37.2% 2.8% 4.5% 9.4% 26.6%

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文責:川井清考(院長)

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