動画で見る顕微授精の流れ⑥受精確認_2PN(正常受精)

今回は新しい試みとして動画で一つの技術の一連の流れを動画で紹介しています。

今回紹介したい技術は卵子の中に精子を一つ入れて受精を促す顕微授精です。
顕微授精の一連の流れは以下の通りです。

① 卵子を探して培養液で洗浄
② 卵子の回りを取り囲んでいる卵丘細胞を取り外して成熟判定
③ 精子の探索と不動化
④ 卵子の紡錘糸観察
⑤ 卵子への精子注入
⑥ 受精確認

今回は、
⑥ 受精確認
になります。

卵子の中に精子を注入してから、約17時間後に卵子の反応を調べます。卵子の反応は以下の通りになります。

① 変性(生命活動停止)
② 2PN(正常受精)
③ 0PN(受精反応なし、あるいは、受精反応しかけ)
④ 1PN(異常受精)
⑤ 3PN(異常受精)

一つずつ説明をしていきたいと思います。
今回は、
➁ 2PN(正常受精)
になります。
これは患者さんにとっても培養士にとっても最高の結果です。

動画は35秒です。精子を卵子の中に注入してからの卵子の反応は順に、卵子の中から外に2個目の小さな丸いポチが放出され(精子注入から約2時間後、卵子を時計に見立てると7時方向に1個目の丸いポチがあり、2個目の丸いポチは11時方向に現れます:動画再生から5-7秒の間)、その後、女性のDNAが入った袋が一つ、男性のDNAが入った袋が一つ、合計二つの袋が卵子の中に現れます。最終的に女性と男性のDNAは融合して消えます(動画再生から33秒以降)。

2023年の当クリニックの顕微授精後の2PN率は84.5%(3436/4066)でした。2PN率を0.1%でも高められる様、日々、技術の見直し・改善を行っています。理想はもちろん100%です。

次回は
③ 0PN(受精反応なし、あるいは、受精反応しかけ)
について説明致します。

文責:平岡謙一郎(培養室長)

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