CAPA-IVMでは単一培養・グループ培養は成熟・胚発生に差なし(Reprod Med Biol. 2024)
Capacitation-IVM (CAPA-IVM)は二期的にIVM培養を行います。初期培養は減数分裂に影響するCNP、後期培養では卵子生存性に影響するAREGが含まれていることが特徴です。体外培養の際、単一培養がよいかグループ培養がよいかわかっていません。CAPA―IVMでは必要な因子を培養液中で補っている中で、単一培養・グループ培養により成熟率に違いはでるかどうかを調査した報告です。
≪ポイント≫
CAPA-IVMでは単一培養・グループ培養は成熟・胚発生なさそうです。
≪論文紹介≫
Huy H Pham, et al. Reprod Med Biol. 2024 Jun 7;23(1):e12587. doi: 10.1002/rmb2.12587.
PCOS女性におけるCAPA-IVM を用いた体外培養においてCOCの単一培養・グループ培養どちらが効果的かを調査したsibling oocyte prospective pilot studyです。2020年10月1日から2021年10月24日までベトナムで18~37歳のPCOS女性を対象に体外培養を行う場合のCOCを無作為に2群に分け、CAPA-IVM培養中に単一培養またはグループ培養を行い、成熟率を主要評価項目として比較検討しました。
結果:
15名のPCOS女性から得られた322個COCを無作為に割り付けました。成熟率は単一培養群と集団培養群で同等でした(61.3% vs. 64.8%;p = 0.56)。2PN数、3日目胚数、良質胚数には、2つの培養法群で有意差はありませんでした。単一培養群では、COC形態が3日目胚形成率と関連していたが、成熟率とは関連していませんでした。
≪私見≫
マウスでの未熟卵の体外培養のCOC/uLのバランスを評価した報告が同一グループですが2本報告されています。
20COC/100μL群、1COC/ 100μL群、1COC/10μL群にて、1COC/ 100μL群と1COC/10μL群の成熟率が20COC/100μL群より低く、1COC/10μL群が胚発生が良好だとするもの(Nishio M, et al. Reprod Med Biol. 2014)、20COC/ 100μL群と5COC/200μL群で発育能力および品質に差はないとするもの(Nishio M, et al. J Mamm Ova Res. 2011)があります。
今回の研究では単一培養群では1COC/30uLとなります。回収されたCOC数によりCOC/uLはそこまで神経質にならなくてよいかもしれません。
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文責:川井清考(院長)
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