男性所見は生活習慣でかわる?

ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)の発表ですが、千葉大学泌尿器科と協力し男性不妊でも一題採択されています。
私は患者様に「いくらサプリメントや体質改善を行なっても不妊原因を特定し治療しないと妊娠率があがらないんだよ」と説明しています。

ただ、男性不妊は精液所見の悪い患者様の6割は原因不明です。当院では毎週土曜日に男性不妊外来を千葉大学泌尿器科の小宮先生と共に行なっております。通常精液検査で、反復して精液所見が悪い場合は男性不妊外来を受診し原因のスクリーニングをおこないます。その際に、精液所見を悪化させるといわれている生活習慣の改善指導を積極的におこなっています。
今回の演題採択は生活習慣指導で改善したという内容です。今後は男性不妊に関するブログも定期的に発信していく予定です。また、ホームページも近日中に致します。皆様の不妊治療の参考になさってください。

生活習慣とその改善指導の解析結果(Komiya A. et al, ESHRE 2020)

2018年5月から2019年6月までに亀田IVFクリニック幕張の男性不妊症外来を受診した203例(年齢中央値35歳)での解析結果
多くの方が精液所見を悪化させうる生活習慣を持っていました。

喫煙習慣あり 47(23.2%)
習慣的なアルコール摂取あり 94(46.3%)
長風呂を含めた陰嚢温度を上昇される習慣あり 150(73.9%)
タイトな下着着用(ボクサーブリーフなど) 136(67.0%)
Body Mass Index (BMI)30以上 16(7.9%)

生活習慣改善指導だけでも精液所見は改善していました。

  生活改善指導前 生活改善指導後
禁欲期間 3.7日 2.8日(p=0.0135)
乏精子症
(精子が少ない)
99/203 例(48.8%) 77/197 例(39.1%, p=0.0511)
精子無力症
(精子の運動性が悪い)
160/203 例(78.8%) 91/196 例(53.6%, p<0.0001)
乏精子無力症
(精子の数が少なく、動きも悪い)
81/203 例(39.9%) 47/196 例(23.7%, p<0.0001)

文責:川井(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。