動画で見る胚盤胞の凍結(胚盤胞を縮める)

以前のブログ記事「胚盤胞の凍結」で受精卵の胚盤胞と呼ばれる時期は水風船のようになっていて、中は水がいっぱいに詰まっている状態であることを説明しました。また、胚盤胞の凍結を成功させるためには、凍結前に中に詰まった水を抜く必要があり、水を抜かないと胚盤胞の中で水が凍って氷の結晶ができることで胚盤胞が内部から破壊されてしまいます。

したがって、胚盤胞の凍結を成功させるためには凍結前に水を抜いて縮ませる必要があります。今回は胚盤胞を縮ませるために当クリニックで行っている二つの技術、レーザーとピペッティングを動画で紹介致します。

まずはレーザーをご覧ください。
動画は26秒です。動画開始から約5秒後に赤い円のところから胚盤胞に向かってレーザーが一回照射されます。その後、レーザーにより空いた穴から少しずつ水が抜けて胚盤胞全体が少しずつ縮んでいきます。

次にピペッティングをご覧ください。レーザーを照射しても縮みにくい胚盤胞が一部あります。その場合は追加でピペッティングを行います。ピペッティングとは胚盤胞をガラスの針の中に吸い込み・吐き出しを行う操作で、これを胚盤胞が縮むまで繰り返します。

胚盤胞の凍結を成功させるためには凍結前に胚盤胞を縮めることが大切で、そのための二つの方法を動画で紹介致しました。今回紹介したレーザーとピペッティングにより胚盤胞を縮める方法はいずれも論文で報告されています。

【レーザー】
Artificial shrinkage of blastocoeles using either a micro-needle or a laser pulse prior to the cooling steps of vitrification improves survival rate and pregnancy outcome of vitrified human blastocysts.
Mukaida T, Oka C, Goto T, Takahashi K.
Hum Reprod. 2006 Dec;21(12):3246-52. doi: 10.1093/humrep/del285. Epub 2006 Aug 26.
PMID: 16936299

【ピペッティング】
Blastocoele collapse by micropipetting prior to vitrification gives excellent survival and pregnancy outcomes for human day 5 and 6 expanded blastocysts.
Hiraoka K, Hiraoka K, Kinutani M, Kinutani K.
Hum Reprod. 2004 Dec;19(12):2884-8. doi: 10.1093/humrep/deh504. Epub 2004 Sep 3.
PMID: 15347597

文責:平岡謙一郎(培養室長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。

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亀田IVFクリニック幕張