異所性妊娠とBMIの関係(BMC Pregnancy Childbirth. 2024)

異所性妊娠の発生率は全妊娠の1-2%とされています。リスク因子として、異所性妊娠既往歴、卵管手術既往、堕胎既往、自然流産既往、クラミジア感染症や骨盤内炎症性疾患既往、不妊症既往、喫煙歴、35歳以上の年齢などが知られています。
ではBMIとの関連はどうでしょうか。現在のところ意見が分かれています。

  • 低BMIがリスク
    Cai J, et al. BJOG. 2021;128(3):540–50.
  • 高BMIがリスク
    Pan Y, et al. BMJ Open. 2016;6(6):e011227.
  • BMIは無関係
    Gaskins AJ, et al. Fertil Steril. 2018;110(7):1328–37.
    Roth D, et al. Am J Obstet Gynecol. 2003;188(5):1169–70.

今回の報告は、低BMIがリスクとしたレトロスペクティブ研究です。

≪ポイント≫

女性年齢35歳以上、分娩数、堕胎既往、異所性妊娠既往、低BMIが異所性妊娠のリスクが高くなる可能性があります。

≪論文紹介≫

Jin-Shuang Ji, et al. BMC Pregnancy Childbirth. 2024 Feb 17;24(1):143. doi: 10.1186/s12884-024-06319-z.

2017年から2021年に中国で行われた異所性妊娠のリスク因子を抽出するために行われたレトロスペクティブ研究です。異所性妊娠に関連すると考えられる、女性年齢、分娩数、堕胎既往、異所性妊娠既往、流産既往、虫垂炎手術歴、BMI(<18.5kg/m2、18.5~24.9kg/m2、25kg/m2~29.9kg/m2、≧30kg /m2)と異所性妊娠との関連を分析しました。
結果
659例の異所性妊娠と1,460例の分娩女性を比較検討しました。女性年齢、分娩数、堕胎既往、異所性妊娠既往、BMIが有意差を認めました(P < 0.05)。多変量解析の結果、年齢35歳以上[OR、5.415;95%CI、4.006~7.320、P < 0.001]、異所性妊娠既往(OR、3.944;95%CI、2. 405~6.467、P < 0.001)、堕胎既往(OR、3.365、95%CI、2.724~4.158、P < 0.001)、低BMI(< 18.5kg/m2)(OR、1.929、95%CI、1.416~2.628、P < 0.001])が異所性妊娠リスクを増加させました。

≪私見≫

異所性妊娠とBMIがどのように関連しているかはメカニズム含めてわかっていません。レプチンが関与しているのでないか?とディスカッションに書かれていますが、裏付ける引用文献もなさそうです。

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文責:川井清考(院長)

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