妊娠中の飲酒について

アルコールに関しては過去のブログ(男性のアルコール消費と妊娠のしやすさとの関連性 https://medical.kameda.com/ivf/blog/post_77.html )でも取り上げましたが、産婦人科診療ガイドライン産科編2020にも掲載されていますので参考になさってください。

CQ109妊婦の飲酒については?

  1. 妊娠初期に、妊娠前の飲酒の習慣およびその頻度についての情報を得る。(推奨度B)
  2. 飲酒習慣のある妊娠は以下のことを念頭において管理する。(推奨度B)
    1. 妊娠中の飲酒は母児へのリスクがあること
    2. 禁酒により母児へのリスクが回避できる可能性があること
  3. 医療者による指導は効果が期待できるため、妊娠中の禁酒を指導する。(推奨度C)
  4. 授乳中の飲酒についても注意すべき事項を説明する。(推奨度C)

≪私見≫

全て大事ですが、私たちが関わるのは特に1-2だと思っています。妊娠率は適度な飲酒では影響しないとされていますが、妊娠した後は赤ちゃん・自分自身のために飲酒を控えていただくことをお勧めします。皆さんに伺うと、妊娠したら不思議とお酒をのみたくなくなるという方が多いのですが、依存性が高いこともあり、自身のアルコールの危険性の理解度と関係なく妊娠中も飲酒を続けてしまう方がいらっしゃるようです。妊娠中の飲酒は下記のようなリスクがあがることを理解しておきましょう。
胎児性アルコール・スペクトラム障害は胎児死亡、脳萎縮、多動など様々な障害を含みます。知的障害・学習障害をきたすアルコール神経発達障害、心臓・聴覚問題などの形態異常をきたすアルコール関連先天性欠損症があり、考えられてきた以上に多いのでは?とされているようです。日本では、妊娠中の飲酒と妊娠高血圧症候群との関連や、常位胎盤早期剥離のリスクファクターとしても報告されています。
不妊治療は安全な出産までが一つの目標ですので、私たちも分娩をお願いする周産期機関と一体となって取り組めたらと思っています。

文責:川井(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。