イブプロフェンは排卵を遅延させる(Reprod Biomed Online 2024)

NSAIDSを排卵抑制目的に採卵時に使用することは一般的になってきています。
過去にインドメタシン(Nargund et al. 2001; Kadoch et al. 2008)、ジクロフェナク(Kawachiya et al. 2012)、イブプロフェン(Kohl Schwartz, et al. 2020; Rijken-Zijlstra, et al. 2013)などの報告があります。
イブプロフェンを用いてトリガー42時間後でも排卵遅延が起きているかどうか確認した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

イブプロフェンはトリガー42時間後でも半数以上排卵遅延を起こせそうです。

≪論文紹介≫

M. von-Wolff, et al. Reprod Biomed Online 2024 doi: 10.1016/j.rbmo.2024.103975

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であるイブプロフェンは排卵を遅らせるかどうかを検討した2段階のPOC studyです。イブプロフェンを服用した患者のhCG注射42時間後の非排卵卵胞の割合を評価しました。介入群は、イブプロフェン400㎎/回をトリガーから5回服用し42時間後に自然周期採卵を行なった女性としました。コントロール群は、タイミング法/人工授精を受けている女性としました。
結果 :
イブプロフェン介入群には合計26名、コントロール群には25名がリクルートされました。イブプロフェン介入群における42時間後排卵遅延女性の割合は、基準値の50%より有意に高くなりました(22/26、85%;CI:65%-96% P<0.001)。コントロール群では、42時間後排卵遅延女性の割合は20%(5/25、95%CI:6.8%-41%)でした。イブプロフェン介入群では排卵遅延率が増加しました(aOR=22.72 [5.77,115]、P ≤0.001)。介入群で排卵が遅れた22名の女性のうち、20名(91%)で卵子が回収され、すべての卵子が成熟していました。

≪私見≫

NSAIDSを用いた排卵遅延は一般的に行われています。改めて、どの程度排卵抑制があるか見つめ直すよいきっかけとなりました。

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文責:川井清考(院長)

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