アジアでのフォリトロピンデルタによる卵巣刺激RCT(Hum Reprod. 2021)

無作為化比較試験により、AMHと体重に基づいた個別化フォリトロピンデルタ投与レジメンによる卵巣刺激が、新鮮胚移植の妊娠率・出生率を維持し、OHSSリスクを低減させることがわかっています。アジアでのフォリトロピンデルタによる卵巣刺激の無作為化比較試験をご紹介いたします。

≪ポイント≫

フォリトロピンデルタによる個別アルゴリズムによる卵巣刺激はアジア諸国でも新鮮胚移植の妊娠率・出生率を維持し、OHSSリスクを低減させることがわかりました。

≪論文紹介≫

Jie Qiao, et al.Hum Reprod. 2021 Aug 18;36(9):2452-2462. doi: 10.1093/humrep/deab155.

中国、韓国、ベトナム、台湾の初回体外受精周期1,009名を対象に、無作為化、対照、多施設、評価者盲検試験を実施しました。無作為化は年齢(35歳未満、35~37歳、38~40歳)で層別化しました。評価項目は、新鮮周期における胚移植後10~11週目に評価された継続妊娠率としました(非劣性限界-10.0%;解析は年齢層で調整)。
フォリトロピンデルタ卵巣刺激は、AMH 15pmol/l未満は12μg/日、15pmol/l以上は個別アルゴリズム(0.19~0.10μg/kg;最小~最大6~12μg)で、フォリトロピンアルファは、最初の5日間は150IU/日(11μg)とし、その後は個々の反応に応じて投与量を調節可能とするGnRHアンタゴニスト法にて行いました。
結果:
回収卵子数はフォリトロピンアルファ群に対して個別化フォリトロピンデルタ群で有意に(P < 0.001)少なくなりました(10.0±6.1個 vs. 12.4±7.3個)。個別化フォリトロピンデルタ群は、AMH 15pmol/l未満群では平均2個多い回収卵子数(9.6±5.3個 vs. 7.6±3.5個)となり、AMH 15pmol/l以上群では平均3個少ない回収卵子数(10.1±6.3個 vs. 13.8±7.5個)となりました。AMH 15pmol/l以上群では、過剰反応は個別化フォリトロピンデルタ群で少ない結果となりました(回収卵子数15個以上:20.2% vs.39.1%;卵子数20個以上:6.7% vs. 18.5%;いずれもP<0.001)。早期OHSS/早期OHSSに対する予防的介入率は、個別化フォリトロピンデルタ群で少ない結果となりました(5.0% vs. 9.6%; P = 0.004)。妊娠継続率に関しては差を認めませんでした(フォリトロピンアルファ群25.7% vs. フォリトロピンデルタ 31.3%; 推定平均差5.4%[95%CI:-0.2%;11.0%])。生児出生率は、個別化フォリトロピンデルタ群でたかくなりました。(31.3% vs. 24.7%; 推定平均差6.4%[95%CI:0.9%;11.9%];P = 0.023)。年齢層別の生児出生率は、個別化フォリトロピンデルタ群とフォリトロピンアルファ群でそれぞれ以下の通りでした(35歳未満:31.0% vs.25.0%、35-37歳:35.3% vs. 26.7%: 35-37歳:35.3% vs. 26.7%、38-40歳:20.0%vs. 14.3%)。

≪私見≫

フォリトロピンデルタ卵巣刺激は、AMH 15pmol/l未満は12μg/日で使っていますのでフォリトロピンアルファ群の150U(11ug)より初期ドーズが強いのかもしれません。回収卵子数が少し減ることをネガティブに感じない新鮮胚移植前提の調節卵巣刺激にはもってこいの薬剤選択かもしれません。
この試験は発育卵胞3個以下の場合、必ず治療中止とされる研究ではなく続行もゆるされた研究です。

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文責:川井清考(院長)

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