北欧中心でのフォリトロピンデルタの個別化卵巣刺激RCT(Fertil Steril. 2017)

フォリトロピンデルタの個別化卵巣刺激RCTは北欧→日本→アジアという順番で投稿されました。最初に発表された北欧でのRCTをご紹介いたします。

≪ポイント≫

フォリトロピンデルタによる個別アルゴリズムによる卵巣刺激は北欧諸国における新鮮胚移植の妊娠率・出生率を維持し、OHSSリスクを低減させることがわかりました。

≪論文紹介≫

Anders Nyboe Andersen, et al. Fertil Steril. 2017 Feb;107(2):387-396.e4. doi: 10.1016/j.fertnstert.2016.10.033.

北欧中心に行われた個別フォリトロピンデルタ卵巣刺激とフォリトロピンアルファ卵巣刺激を1,329名の初回体外受精女性(18~40歳)で比較検討した無作為化、多施設、評価者盲検、非劣性試験(ESTHER-1)です。
個別フォリトロピンデルタ卵巣刺激は、AMH 15pmol/l未満は12μg/日、15pmol/l以上は個別アルゴリズム(0.19~0.10μg/kg;最小~最大6~12μg)で、フォリトロピンアルファは、最初の5日間は150IU/日(11μg)とし、その後は個々の反応に応じて投与量を調節可能とするGnRHアンタゴニスト法にて行いました。卵胞発育不良の場合(直径17mm以上の卵胞が刺激20日目までに3個以上到達しないと責任医師が判断した場合)は周期中止としました。
主要評価項目は妊娠継続率としました(非劣性マージン8.0%)。
結果:
妊娠継続率(30.7% vs. 31.6%;差0.9%[95%信頼区間(CI)5.9%~4.1%])、着床継続率(35.2% vs. 35.8%;0.6%[95%CI 6.1%~4.8%])、および生児出生率(29.8% vs. 30.7%;0.9%[95%CI 5.8%~4.0%])は、個別化フォリトロピンデルタ群とフォリトロピンアルファ群で差がありませんでした。
個別化フォリトロピンデルタ群では、総ゴナドトロピン量は少なく(90.0±25.3 ug vs. 103.7±33.6ug)、8-14個の回収卵子数を確保できた患者割合が多く(43.3% vs. 38.4%)、反応不良割合(AMH15pmol/L未満の患者における回収卵子数<4個)が少なく(11.8% vs. 17.9%)、過剰反応(AMH 15pmol/L以上女性の回収卵子数>15個または>20個)が少なく(それぞれ 27.9% vs. 35.1% 、 10.1% vs. 15.6%)、OHSS予防介入は少なくなりました(2.3% vs. 4.5%)。
回収卵子数(10.0±5.6個 vs. 10.4±6.5個)、胚盤胞数(3.3±2.8個 vs. 3.5±3.2個)は同程度でした。

≪私見≫

フォリオトロピンデルタは卵巣予備能がやや低めの患者に国内投与量 12ug/dayのmax doseで使う群が良い結果に至っている印象を受けます。

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文責:川井清考(院長)

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