フォリトロピンデルタ+HMGはPOR 患者に有効?(Reprod Biol Endocrinol. 2024)

フォリトロピンデルタ(レコベル®)でのSTORK試験では個別アルゴリズムを用いると、4個未満 8.3% 4-7個 36.1% 8-14個 40.8% 15-19個 10.1% 20個以上 4.7%となっています。個別アルゴリズムで12ug/dayを示した女性に対してHMG製剤150単位を連日追加したらどうなるか調査した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

保険診療内では同様の方法を検討することは難しいですが、AMH 2.1ng/mL未満でアルゴリズム 12ug/mLを指定される患者群ではHMG追加投与した方が血清E2値数、胚盤胞数、良好胚盤胞数が多くなることがわかりました。

≪論文紹介≫

Oscar Barbosa Duarte-Filho, et al. Reprod Biol Endocrinol. 2024 Jan 2;22(1):7. doi: 10.1186/s12958-023-01172-9.

血清AMH 2.1ng/mL未満の女性において、150IUHMGとフォリトロピンデルタの併用が卵巣反応を改善するかどうかを評価することを目的としました。
フォリトロピン・デルタ使用開始用量12μgと150IUHMGを併用した44名の女性からなる前向き介入群と、薬剤使用3相試験中のフォリトロピン・デルタ使用開始用量12μgである297名の女性からなる後ろ向き対照群を対象としました。
結果:
フォリトロピンデルタとHMG併用群は、トリガー日のエストラジオール値が高く(2150pg/mL vs. 1373pg/mL、p < 0.001)、胚盤胞数が多く(3.1個 vs. 2.4個、p = 0.003)、良好胚盤胞が多くなりました(1.8個 vs. 1.3個、p = 0.017)。初回胚移植後の妊娠率、着床率、流産率、出生率に差は認められませんでした。OHSS率は両群間に差はありませんでしたが、OHSS予防介入はフォリトロピンデルタとHMG併用群で頻度が高くなりました(13.6% vs. 0.6%、p<0.001)。

≪私見≫

このアルゴリズムの限界は卵巣刺激のフォリトロピンデルタの最大用量は12μgであることです。
この研究ではpoor ovarian response riskといっても併用群 AFC 9.5個 AMH 1.20ng/mL、単独群 AFC 11.5個 AMH 1.18ng/mLとそこまで卵巣予備能は低くありません。卵巣反応はHMGを加えても差はなさそうです。
併用群
4個未満 13.6% 4-7個 36.4% 8-14個 36.4% 15-個 13.6%
単独群
4個未満 16% 4-7個 40.1% 8-14個 37.4% 15-個 6.5%
参考:STORK試験
4個未満 8.3% 4-7個 36.1% 8-14個 40.8% 15-19個 14.8%

メーカーの患者向けパンフレット
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文責:川井清考(院長)

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