体外受精の黄体補充の投与方法は生殖医療成績のキーとなってくる要素です。体外受精のプロゲステロン経口投与、経膣投与による生殖医療成績にあたえる影響を調査したシステマティックレビュー・メタアナリシスをご紹介いたします。

≪ポイント≫

体外受精のプロゲステロン経口投与、経膣投与による生殖医療成績は同等である可能性があります。

≪論文紹介≫

Barbosa MWP,et al. JBRA Assist Reprod. 2018 Jun 1;22(2):148-156. doi: 10.5935/1518-0557.20180018.

体外受精（新鮮胚移植または凍結融解胚移植）を行う女性において、黄体補充（経口ジドロゲステロンと膣式プロゲステロンカプセル）を比較したランダム化比較試験（RCT）のシステマティックレビュー・メタアナリシスです。
結果 ：
2017年6月7日までのデータベース検索により376報告が検索され、そのうち9件が適格と判断されました。
経口ジドロゲステロンが経腟プロゲステロンカプセルと少なくとも同等の生殖医療成績を認めました。
　生児獲得／妊娠継続率（質：高い）
　 RR＝1.08、95％CI＝0.92～1.26、I2＝29％、RCT8件、女性3386名
　臨床妊娠率（質：高い）
　　RR 1.10、95％CI 0.95～1.27、I2＝43％、RCT9件、女性4061名
　流産率（質：中等度）
　　RR＝0.92、95％CI＝0.68～1.26、I2＝6％、RCT8件、臨床妊娠988症例

≪私見≫

このシステマティックレビューは新鮮胚移植と凍結融解胚移植が混ざっているのは少し難点ではあります。ただし、経口ジドロゲステロン20-40mg/dayと膣式プロゲステロンカプセル600-800mg/dayは同等の効果が期待できる可能性があります。

文責：川井清考（院長）

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