FETのプロゲステロン投与方法は何がよい?(Arch Gynecol Obstet. 2023)

ホルモン補充周期凍結融解胚移植のプロゲステロン投与方法の是非については、結論がでていません。生殖医療成績・費用・身体への侵襲度・通院回数・患者満足度など様々な指標があります。2023年現在、プロゲステロン投与経路による生殖医療成績を比較したシステマティックレビューをご紹介いたします。

≪ポイント≫

現在のところ、ホルモン補充周期凍結融解胚移植のプロゲステロン投与方法の生殖医療成績に関する一定のコンセンサスは認められていません。

Almohammadi A, et al.Arch Gynecol Obstet. 2023 Aug;308(2):341-350. doi: 10.1007/s00404-022-06674-2.

対象:
凍結胚移植(FET)を受ける女性: 凍結胚移植(FET)を受ける女性。
Medline(PubMed)、Embase、Web of Science、およびCochrane Trials Registerにてプロゲステロン投与経路(経口、経膣、筋肉内注射)を比較したランダム化比較試験を検索しました。評価項目は臨床妊娠率、生児獲得率、流産率としました。
結果:
4つランダム化比較試験(3245名)が該当しました。エビデンスは不均一で質が低く、一定のコンセンサスに、結びつけることは難しそうでした。

著者 国:サイズ 経口投与 経膣投与 筋注投与 組み合わせ
Rashidi et al.2016 Iran, 
n = 180
dydrogesterone
(40mg)
800 mg/day 100mg/day  
Devine et al.2021 United States,
n = 1125
  400 mg/day 50mg/day 経膣投与(400mg/day)+
筋注(50mg/週2回)
Zarei et al.2018 Iran, 
n = 440
dydrogesterone
(20mg)
800 mg/day   経口投与(GnRHa or hCG 1500IU)
Wang et al.2015 China, 
n = 1500
  90 mg gel/day 40mg/day  
評価対象 著者 経口 vs 経膣
Relative risk
(95% CI)
筋注 vs 経膣
Relative risk
(95% CI)
筋注 vs 経口
Relative risk
(95% CI)
臨床妊娠率 Rashidi et al.2016 1.29 (0.77–2.19) 1.35 (0.82–2.27) 1.35 (0.82–2.27)
Devine et al.2021   1.46 (1.21–1.76)*  
Zarei et al.2016 0.45 (0.22–0.92)    
Wang et al.2015   1.01 (0.89–1.15)  
生児獲得率 Rashidi et al.2016 1.06 (0.60–1.89) 1.13 (0.64–1.99) 1.06 (0.61–1.84)
Devine et al.2021   1.62 (1.28–2.05)  
Zarei et al.2016 0.50 (0.24–1.04)    
Wang et al.2015   0.97 (0.84–1.13)  
流産率 Rashidi et al.2016 1.55 (0.22–11.3) 1.48 (0.21–10.8) 0.96 (0.18–5.1)
Devine et al.2021   0.70 (0.45–1.09)  
Zarei et al.2016      
Wang et al.2015   1.13 (0.80–1.61)  

≪私見≫

現在のところ、ホルモン補充周期凍結融解胚移植のプロゲステロン投与別による生殖医療成績は一定の見解がありません。
難治症例には、血清プロゲステロン濃度を含めた他パラメーターを参考にしたり、投与経路が異なる製剤を組み合わせて使用したりすることが行われています。

Rashidi BH, et al. Asian Pacific J Reprod. 2016;5(6):490–494. doi: 10.1016/j.apjr.2016.10.002.
Devine K, et al. Fertil Steril. 2021;116(3):633–643. doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.04.013.
Zarei A, et al. Arch Gynecol Obstet. 2017;295(1):239–246. doi: 10.1007/s00404-016-4217-4.
Wang Y, et al. Medicine. 2016;95(9):e2939. doi: 10.1097/MD.0000000000002939.

文責:川井清考(院長)

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