不妊原因の有病率

不妊症を疑った場合、どのような原因が疑われるのでしょう。
原因は一つでなく、複数存在することが多く、診断がつく不妊症原因ばかりではありません。また、地域や時代によって不妊原因の有病率は異なる可能性は従分考えられます。引用されることが多い報告をご紹介させていただきます。

□NICE Clinical Guideline (2013)
https://www.nice.org.uk/guidance/cg156/evidence/full-guideline-pdf-188539453

  • 排卵障害      25%
  • 卵管因子      20%
  • 男性因子      30%
  • 子宮または腹膜因子 10%
  • 原因不明      25%

男女両方に不妊原因あり 40%

□JAMA review (2021)
Sandra Ann Carson, et al. JAMA. 2021 Jul 6;326(1):65-76.

  • 排卵障害      25%
  • 卵管因子      11-67%
  • 男性因子      35%
  • 子宮または腹膜因子 記載なし
  • 内膜症       25-40%
  • 原因不明      15%

□国内 (2004)
日本受精着床会誌 2004;21:6-14

  • 卵巣因子      21%
  • 卵管因子      20%
  • 男性因子      33%
  • 子宮因子           18%
  • 免疫因子           5%
  • そのほか      4%

□原因不明不妊は女性年齢ともに増加
Abha Maheshwari, et al.Hum Reprod. 2008 Mar;23(3):538-42.
こちらは比較的細かく記載されているのでご紹介させていただきます。

≪論文紹介≫

1993年から2006年にスコットランドにある生殖医療施設に挙児希望で来院したカップルのデータより、初診時女性年齢が35歳未満と35歳以上について、不妊原因の有病率を求めました。
結果:
7,172名の女性のうち、26.9%が35歳以上、51.4%が原発性不妊でした。
○排卵障害
若い女性の有病率高い(23.6% vs. 11.4%, P<0.001)
原発性・続発性で差なし
30歳未満と比較して35歳以上の女性におけるaOR(95% CI) : 0.3(0.3-0.4)
○子宮内膜症
若い女性の有病率高い(4.5% vs. 3.1%, P = 0.01)
原発性・続発性で差なし
30歳未満と比較して35歳以上の女性におけるaOR(95% CI) : 0.9(0.6~1.5)
○卵管因子
高齢女性の有病率高い(24.8% vs. 17.6%, P<0.001)
続発性不妊で増加
30歳未満と比較して35歳以上の女性におけるaOR(95% CI): 2.2(1.7〜2.7)
○原因不明不妊
高齢女性の有病率高い(26.6% vs. 21.0%, P<0.001)
原発性・続発性で差なし
30歳未満と比較して35歳以上の女性におけるaOR(95% CI): 1.8(1.4〜2.2)

文責:川井清考(院長)

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