片側卵巣女性のAMHと卵胞との関係は?(Hum Reprod. 2021)

片側卵巣を摘出すると身体の中に残っている卵子の数は減ります。これは卵巣予備能検査などでも一般的に評価すること可能です。しかし、片方の卵巣となっても閉経が早まらないことは動物実験でもヒトでも報告されていて、周期あたりのリクルートされる卵子数で調整されていると考えられていますが、正確なメカニズムはわかっていません。
上記の一見矛盾する結論を見た時に、片側卵巣の場合と両側卵巣がある場合で、ホルモンバランスと卵胞数の関連が変わるのではないか?と仮説が立てられます。
片側卵巣摘出術を行った場合、AMHとAFCの関連性は変化するのでしょうか。こちらを調査した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

  • 女性年齢で補正すると片側卵巣摘出術により「卵巣ごと」および「卵胞ごと」のAMHおよび胞状卵胞分布に差は認めませんでした。
  • FSH値とAFCは逆相関ですが、片側卵巣の方が相関関係は弱くなりました。
  • AFC(3-4mmと5-12mm)の割合は片側卵巣でも両側卵巣でも変化はありませんでした。

≪論文紹介≫

M Grynberg, et al.  Hum Reprod. 2021 Jun 18;36(7):1941-1947.  doi: 10.1093/humrep/deab132.

片側卵巣摘出術を受けた19~42歳の女性(PCOS、内膜症がないことが条件)41名(片側卵巣群、術後平均期間:23.8±2.2ヵ月)と両側卵巣がある女性(コントロール群205名)とマッチングし比較検討しました。
血清AMH値、3-4mm AFC、5-12mm AFC、total AFC(3-12mm)を両群とも月経周期3日目に評価しました。評価項目は、卵胞期AMH/卵胞期AFC比などのホルモン値とAFC関係としました。
結果:
補正前のAMH値(1.46±0.2 vs. 2.77±0.1 ng/ml、P < 0.001)、total AFC(7.3±0.6 vs. 15.1±0.4個、P < 0.0001)は、片側卵巣群で低くなりました。2で割り両側卵巣群を補正すると一卵巣あたりのAMH値(1.46±0.2 vs. 1.39±0.1ng/ml)、total AFC(7.3±0.6 vs. 7.5±0.2個)には、差を認めませんでした。卵胞(3-4mm、5-12mm、3-12mm)あたりのAMH値も、両群で差を認めませんでした(それぞれ0.39±0.05 vs. 0.37±0.02、0.69±0.12 vs. 0.59±0.05、0.23±0.03 vs. 0.19±0.01)。3-4mm卵胞のAFCの分布率、AMH値とtotal AFCの相関も両群に差がありませんでした。

≪私見≫

片側卵巣となっても、AMHとAFCの関係は両側卵巣がある女性と同様に説明しても大丈夫なことがわかりました。
体外受精成績も卵巣予備能の低下などにより軽度低下する可能性(Tekla Lindら、2018)もありますが、成績に差がないという報告も複数(Khanら、2014;Lassら、2018)あります。卵子の質には影響を与えていなさそうですね。

~関連ブログ~
卵巣を片方とると体外受精での妊娠率がさがる(論文紹介)
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文責:川井清考(院長)

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