重複子宮(片側:卵管水腫、片側:正常卵管)のERA、EMMA、ALICE結果(症例報告)
卵管水腫は着床率を低下させることがわかっています。
αvβ3 integrin、HOXA10、IL-12、IL-1α、TNFαなど発現変化が着床の窓を変化させる、もしくは消失させる可能性が一つあります。その他、卵管水腫の液性成分が胚毒性を伴ったり、物理的に着床を阻害する可能性です。
重複子宮,片側腟閉鎖,同側腎欠損であるOHVIRA(Obstructed hemivagina and ipsilateral renal anomary)症候群の34歳女性(27歳時:腟中隔切除術、右卵管水腫あり)のERA、EMMA、ALICEの結果を踏まえて妊娠・分娩に至った私たちの症例報告がpublishされました。
過去には31歳女性の重複子宮Class U3b (ESHRE/ESGE分類)で、左右子宮のERA結果が異なったという報告(Carranza, F., et al. J Hum Reprod Sci 2018.)もありますが、重複子宮でのERA、EMMA、ALICE結果を詳細に検討した報告はありませんでした。
一歩ずつですが、患者様にご提供いただいた貴重な経験を世界の不妊で悩むカップルのために形に残し続けたいと思います。
右子宮(卵管水腫) | 左子宮(卵管正常) | |
ERA 検査 | Receptive 126±3 時間 |
Receptive 126±3 時間 |
EMMA 検査 | Lactobacillus 0% Escherichia 46.78% Trabulsiella 31.69% Microbacterium 5.54% Others 15.99% |
Lactobacillus 0% Escherichia 49.91% Trabulsiella 30.67% Microbacterium 5.99% Streptococcus 5.84% Others 7.59% |
ALICE 検査 | Escherichia 46.78% | Escherichia 49.91% |
慢性子宮内膜炎 | 異常なし | 異常なし |
Junichiro M, et al. endocrines. 2022. DOI:10.3390/endocrines3040068
https://www.mdpi.com/2673-396X/3/4/68
文責:川井清考(院長)
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