PCOS女性は年齢とともにどう変化する?(論文紹介)

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、生殖年齢女性の8%~13%が罹患しているとされています。PCOSの国内での診断基準は「日産婦2007」を使用することが多いですが、国際的には「ロッテルダム診断基準2003」を用いることが一般的です。
比較的、似通った基準ですので論文投稿など以外では、臨床をお行う上での問題は生じません。「ロッテルダム診断基準」では排卵障害、アンドロゲン過剰症、超音波での多嚢胞卵胞の3項目のうち少なくとも2項目に基づき、4表現型群を定義しています。
 A型 =排卵障害 + アンドロゲン過剰症 + 超音波での多嚢胞卵胞
 B型 =排卵障害 + アンドロゲン過剰症
 C型 =アンドロゲン過剰症 + 超音波での多嚢胞卵胞
 D型 =排卵障害 +超音波での多嚢胞卵胞
PCOS女性の表現型、内分泌、代謝の経時的変化を評価した報告をご紹介します。

≪ポイント≫

  • PCOSは40歳になると20%、50歳になると75%診断基準から外れます。
  • 排卵障害:年齢と共に改善します。
  • アンドロゲン過剰症:年齢と共に減少しますが、一部の症例では継続します。
  • 超音波での多嚢胞卵胞:30歳以降に減少し始めます。
  • BMIとウエスト周囲径:年齢と共に増加します。
  • インスリン抵抗性:有意差はありませんが年齢と共に増加傾向です。

≪論文紹介≫

Jolanda van Keizerswaard, et al. Fertil Steril. 2022. DOI: 10.1016/j.fertnstert.2022.01.014

ロッテルダム基準にてPCOSと診断し反復し受診されている患者の初診・再診時の臨床的および内分泌的特徴の変化を評価しました。
結果:
596人の女性が外来診療を繰り返し受診して評価対象としました。5歳ごとの変化を推定すると、「排卵障害 + アンドロゲン過剰症 + 超音波での多嚢胞卵胞」パターンが減少し、PCOS診断を満たさない割合が増加ました。
血清中のテストステロン、アンドロステンジオン、DHEA-S、および遊離アンドロゲン指数は、減少しました。BMIとウエスト周囲径の増加を示しましたが、血漿グルコースレベル、インスリンレベル、インスリン抵抗性は変化を示しませんでした。

≪私見≫

年齢が高い女性を診ていると、現在は排卵障害がないけれど以前はPCOSだっただろうなという患者さまを診察することがあります。臨床的特徴を把握するうえで参考になる報告です。

規則的な月経周期は21~35日、希発月経は>35日、無月経は>188日と定義しています。
多嚢胞性卵胞は、片方または両方の卵巣に12個以上の卵胞(直径2〜9mm)および/また 10mL以上の卵巣容積があり、10mm以上の発育卵胞が存在しないものと定義されています。
インスリン抵抗性のHOMA-IRで計算されています。血漿グルコース(mmol/L)×血漿インスリン(mU/L)/22.インスリン抵抗性は、(1 / HOMA-IR)<0.47と定義されていますが、これは単位が異なるためです。

文責:川井清考(院長)

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