ホルモン補充周期(HRT周期)凍結融解胚移植の方法とERA検査での内膜のずれ(当院のデータをふまえて)

3週に渡って、当院開設後~現在までの成績をブログに示して参りました。
ブログは当院の成績の開示や論文などを患者様にご紹介し、クリニックと患者様の信頼関係を構築するものであり、他施設とのブログとの比較材料や非難をするために記載しているわけではありません。最近、患者様より「他院の先生やブログにはこう書いてあった」などのご意見をいただくことがありますが、私たちは自分たちのやり方の根拠、そして現在の治療による結果をお示ししているだけですので、「亀田IVFクリニック幕張はこういうやり方でやっているんだ」程度に留めていただければ幸いです。
当院の胚移植の方法はホルモン補充周期凍結融解胚移植がメインとなっています。
患者様からよく聞かれる質問について回答させていただきたいと思います。

①夫婦生活をもってよいですか?
Ans: 胚移植をおこなう前であれば夫婦生活をとっていただいて構いません。
ただし、ホルモン補充周期は排卵をしないので直接妊娠成績向上につながることはありません。強いて言うならば、黄体補充を開始すると膣剤を挿入いたしますので、そこからは控えていただければ幸いです。
②排卵周期とどう違うのですか?
Ans: 当院の成績では大きな差がないと考えております。
ただ、ホルモン補充周期での胚移植が多い理由は下記のとおりです。

  1. 採卵の次の月経周期での排卵周期での胚移植は当院では成績が落ちるため、翌周期移植するならホルモン補充周期、排卵周期を希望するなら一周期あけてもらっています。
  2. 日程調整がしやすい 特殊な例をのぞきホルモン補充周期の場合、月経3日以内のスタート時点で妊娠判定までのスケジュールを相談させていただくことが可能です。排卵周期は排卵日によって移植日・妊娠判定日が変動いたします。
  3. 再現性をとりやすい ホルモン補充周期は外からのホルモンコントロールですので、毎周期同じ状況をつくることが比較的容易です。

③いつまで薬を使用するのでしょうか?
Ans:当院では9週前後まではホルモン補充を継続します。妊娠を継続した場合、胎盤のもととなる絨毛から女性ホルモン・黄体ホルモンが必要量産性されるのは8-10週といわれておりますので、こちらを参考に使用しております。
④黄体補充の膣剤は8時間毎きっかりでなくてはいけないのでしょうか?
Ans:当院では、血中濃度が比較的安定するまでの2日間は黄体補充を8時間おきに、その後は1日3回一定間隔をあけていれてくれれば時間きっかりでなくても大丈夫ですとお伝えしております。
⑤ホルモン補充周期でのERA検査をすすめられたのですが、どのような結果が期待できるのですか?
Ans:現在のところERA検査(着床の窓をみる検査)でずれている方を事前に予測するリスク因子は明確になっておりません。ただ、当院での移植方法に準じた方法で検討を行なっております。結果をお示しいたしますのでご参考にしていただければ幸いです。

当院での簡単なホルモン補充周期のスケジュールも添付させていただきます。 ご参考になさってください。

文責:川井(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。

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