体外受精へのステップアップ④胚移植(亀田IVFクリニック幕張 開設-2020年11月現在)

当院の傾向として、移植は凍結融解胚移植(約92%)、単一胚移植(約90%)、胚盤胞移植(約82%)が多いクリニックです。凍結融解胚移植の内膜作成周期は、ホルモン補充周期:排卵周期=4:1となっています。理由としては採卵直後の周期はホルモン補充周期としていること、女性にとってホルモン補充周期のほうが1ヶ月の予定を立てやすいこと、また内膜・ホルモンの再現性を考えるとホルモン補充周期のほうが簡便であることです。

ただし、最近では排卵周期凍結融解胚移植の見直しもすすめており、過去にタイミング・人工授精で妊娠歴がある患者様やホルモン補充周期で良好な結果に至らない患者様、薬にアレルギー反応が強い患者様に実施しております。

女性年齢別の胚移植あたりの妊娠率・流産率・妊娠して卒業する割合は以下の通りです。
34歳以下 臨床妊娠率:59.9%、流産率:13.6%、妊娠卒業率:51.8%
35~39歳 臨床妊娠率:49.6%、流産率:21.3%、妊娠卒業率:39.0%
40歳以上 臨床妊娠率:32.8%、流産率:42.5%、妊娠卒業率:18.9%

女性年齢の上昇とともに妊娠率が低下し流産率が増加するのは一般的な報告と同様になります。

では移植回数別の卒業率(妊娠して卒業し分娩まで至る割合)はどうでしょうか。
通常は良好胚から移植しますので、初回胚移植が一番、妊娠して卒業する割合が高いのは一般的だと思います。ただし、反復不成功が続くに連れ子宮側の原因がでてきたり、残った胚質の低下をきたすため徐々に卒業率も低下をきたします。

私たちは年齢に応じて子宮側の検査(ERA、TH1/2、慢性子宮内膜炎精査。現在までの状況によりEMMA、ALICEや凝固能精査)を実施します。これらの結果によって移植する方法を変えていますし、今後はPGT-A(着床前診断)の選択肢も増えてきます。
介入することにより各年齢層で妊娠率の向上させることが可能と考えています。

文責:川井(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。

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