円錐切除後の妊娠はリスクが高いの?

不妊治療に来られる患者様の中に、子宮頸部高度異型性や子宮頸がんの既往があり円錐切除を実施している患者様がいらっしゃいます。円錐切除後の妊娠は周産期合併症のリスク増加に繋がります。産婦人科診療ガイドライン産科編2020にも掲載されていますのでご紹介したいと思います。

CQ503子宮頸部円錐切除後の妊娠の取り扱いは?≫

  1. 早産ハイリスクと認識して管理する。(推奨度B)
  2. 早産兆候(頸管短縮、子宮収縮など)に注意する。(推奨度B) 

≪私見≫

円錐切除後の妊娠では早産率が8-15%であり、円錐切除をおこなっていない妊婦と比較し発生率が1.5-3倍高くなることが分かっています。切除した頸管の深さに関連して早産率が高くなることが報告されており、早産以外にも後期流産、早期前期破水、帝王切開分娩などが増加する可能性もあります。妊娠12週以降比較的早期に行う予防的頸管縫縮術も有用性があるかどうかは分かっていません。円錐切除後の妊娠では妊娠中期に頸管長25mm以下となる場合、早産率が高いとわかっています。早産兆候に注意をはらうのと同時に超音波による頸管長計測は早産リスクの評価に有用です。
問診票記入の際に手術歴に円錐切除が記入されておらず、膣鏡診にて患者様に確認し発覚することが複数あります。妊娠したあと、周産期合併症を少しでも減らせるように妊娠後の紹介状には記載させていただくことにしています。

円錐切除をされてから不妊治療までの期間が空いている等で詳細に思い出せない場合もあるかもしれませんが、わかる範囲で情報提供していただければ幸いです。

文責:川井(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。