0PN由来胚の発育/妊娠転帰(J Assist Reprod Genet. 2025)

【はじめに】

生殖補助医療の卵子回収・受精後の最初の確認は前核と第2極体確認となります。2前核と第2極体が確認されて初めて正常受精と位置付けられます。特に2前核ではない胚は異常受精と判断され、多くの場合廃棄されています。しかし、0PN胚には未受精の卵子だけでなく、早く/遅く前核発生が起こった可能性があり、一部は胚盤胞まで発育し出産に至る可能性があります。今回、0PN胚の発育と単一正常核型胚盤胞移植後の妊娠転帰を調査した研究をご紹介します。

【ポイント】

0PN由来胚は2PN由来胚に比べて発育能力が低いものの、正倍数胚盤胞からの凍結融解胚移植では同様の出生率を示します。

【引用文献】

Jeong Hee Moon, et al. J Assist Reprod Genet. 2025 Feb 21. doi: 10.1007/s10815-025-03430-8.

【論文内容】

0PN由来胚の発育能力を評価し、それらから派生した正倍数胚盤胞の妊娠転帰を調査することを目的としています。
2016年4月から2022年12月までに、スタンフォード大学の単一医療機関で、受精確認時(授精後16~19時間)に少なくとも1つの0PNが観察された2,634名4,580件のPGT-A周期を対象としました。
結果:
全0PN(9,345個)のうち、70.4%が分割しましたが、分割期胚のうち胚盤胞に到達し生検基準を満たしたのはわずか5.3%でした。これらの割合は2PN(32,086個、分割率98.7%、生検された胚盤胞率43.6%、p<0.05)と比較して低いものでした。ロジスティック回帰モデルでは、2PNは0PNよりも19.6倍胚盤胞生検に至る可能性が高いことが示されました(p<0.05)。生検された胚盤胞のうち、0PN群(349個)は39%、2PN群(13,975個)は45%が正常核型でした(p<0.05)。
単一正常核型胚盤胞移植(0PN群 27個、2PN群 1,695個)のグループ間での出生率、臨床的妊娠率、生化学的妊娠率、流産率に有意差は観察されませんでした。

【私見】

通常、今までの方向性を覆す報告(今回でいうと異常受精胚は戻すに値しない)は賛否両論わかれるところですが、0PNは胚盤胞に到達すると移植に値する胚であるという考え方は、同じ方向でコンセンサスがすすんでいます。
Liu J et al. (2016)、Li M et al. (2021)、Paz MV et al. (2020)、 Fu L et al. (2022)、Kobayashi T et al. (2021)
ESHRE、ASRMなどのsuggestionが出て欲しいですね。

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文責:川井清考(院長)

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