不良胚を加えた二個胚盤胞移植の生殖医療成績(Reprod Biomed Online. 2024)

2個胚盤胞移植をしたときに助け合うのか、邪魔をするのか今のところ議論が二分しています。後方視的ではありますがビッグデータによる報告がでてきましたのでご紹介いたします。

≪ポイント≫

不良胚を加えた2個胚盤胞移植の生殖医療成績は良好胚単一胚盤胞移植に比べて生児出生率があがるものの、多胎率は増加します。

≪論文紹介≫

Tingting He, et al. Reprod Biomed Online. 2024 Sep;49(3):104104. doi: 10.1016/j.rbmo.2024.104104.

凍結胚盤胞移植にて、質の良い胚と質が悪い胚を同時に移植することは、質の良い胚を1つ移植することと比較して、妊娠率に影響を与えるかどうかを調査したレトロスペクティブコホート研究です。2015年1月から2022年6月に凍結胚盤胞移植を受けた女性11738名を対象としました。単一胚盤胞移植(SBT; 9338名)と、2個胚盤胞移植(DBT良質胚と不良胚の移植;2400名)で比較検討しました。
結果:
SBT群と比較して、DBT群では生児出生率が高くなりました(65.6% vs. 56.3%、P < 0.001)。多変量ロジスティック回帰分析により、DBTは生児出生率の独立した予測因子でした(aOR 1.55、95%CI 1.41–1.71;P < 0.001)。良好胚と不良胚をそれぞれ移植した患者と比較すると、多胎出産率は、良好胚を1つ移植した患者の方が有意に高かった(41.4% 対 1.8%; P < 0.001)。着床率(胎嚢数/移植胚数)はSBT群に比べてDBT群で低下しました。

≪私見≫

着床率(胎嚢数/移植胚数)が下がるのは不良胚を戻しているから当然ですよね。
今回の検討では、良好胚は拡張度3以上のAA、AB、BA、BBと評価された胚盤胞であり、不良胚は拡張度3以上のAC、CA、BC、CB、CCと評価された胚盤胞としています。不良胚でも4CC未満の胚、拡張度1、2の胚盤胞は移植対象から外しています。

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文責:川井清考(院長)

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