不良5日目胚盤胞と良好6日目胚盤胞どっちを移植する?(BMC Pregnancy Childbirth. 2023)

メタアナリシスでも、5日目胚盤胞の臨床妊娠率および生児出生率は6日目胚盤胞よりも良いことはわかっています。
Bourdon M, et al. Hum Reprod. 2019. doi: 10.1093/humrep/dez163.
Li YX, et al. J Obstet Gynaecol Res. 2020. doi: 10.1111/jog.14188.
臨床現場でよく遭遇する不良5日目胚盤胞と良好6日目胚盤胞で迷った時にどっちを移植すべきか、こちらの焦点をあてた報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

不良5日目胚盤胞と良好6日目胚盤胞の生殖医療成績や出生予後にほぼ差はありませんが、どちらかというと不良5日目胚盤胞の方が生児出生率は高い傾向にありそうです。

≪論文紹介≫

Yuxia He, et al. BMC Pregnancy Childbirth. 2023 Jan 30;23(1):79.  doi: 10.1186/s12884-023-05387-x.

患者年齢別に不良5日目胚盤胞と良好6日目胚盤胞の生殖医療結果と新生児予後を比較することを目的としたレトロスペクティブコホート研究です。1623周期を2つのグループに分け、グループA( 723周期)は不良5日目胚盤胞、グループB(900周期)は良好6日目胚盤胞を単一胚盤胞移植しました。35歳を基準に4つのグループに分け、生殖医療結果と新生児予後を比較しました。
対象基準は20~39歳、体外受精初回周期、胚移植2周期以下としています。
結果:
同じ年齢グループに属する場合、不良5日目胚盤胞と良好6日目胚盤胞間では、患者背景・移植状況には大きな差は認められませんでした。不良5日目胚盤胞の生児出産率は、35歳未満の患者では良好6日目胚盤胞よりも高くなりました(35.48% vs. 31.13%、p > 0.05)が、統計的な差異は認められませんでした。35歳以上の患者でも同様の傾向が見られました(29.09% vs. 21.28%、p > 0.05)。同じ年齢グループに属する場合、妊娠期間、出生時体重、出生時身長、および早産率、低出生体重児率、超低出生体重児率では差は認められませんでした。

≪私見≫

細胞数と発育スピードでは発育スピードの方に分があるのでしょうか。
当院では迷った時にはAIscore、凍結時拡張径、3日目グレードを参考にして胚移植をおこなっています。
今回の検討では、良好胚は拡張度3以上のAA、AB、BA、BBと評価された胚盤胞であり、不良胚は拡張度3以上のAC、CA、BC、CB、CCと評価された胚盤胞としています。不良胚でも4CC未満の胚、拡張度1、2の胚盤胞は移植対象から外しています。

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文責:川井清考(院長)

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