体外受精双胎妊娠とPEリスク(BMC Pregnancy Childbirth. 2022)

体外受精と妊娠高血圧症候群(PE)はともに胎盤機能不全と関連することがわかっています。体外受精はPE発症率を増加させますが、体外受精妊娠した二卵性双胎妊娠PEのリスク因子となるかはわかっていません。双胎妊娠でPE発症した女性が、どのような特徴があるかを示した報告をご紹介します。

≪ポイント≫

PE発症の双胎妊娠では早期発症および胎児発育不均衡が起こりやすいことがわかりました。

≪論文紹介≫

Fen Dai, et al. BMC Pregnancy Childbirth. 2022 Nov 10;22(1):830. doi: 10.1186/s12884-022-05184-y.

体外受精妊娠した二絨毛膜双胎妊娠における妊娠転帰とPEリスクを、自然妊娠と比較して検討したレトロスペクティブコホート研究です。2016年から2020年に、PE発症した二絨毛膜双胎妊娠女性181名を対象としました。体外受精群(n=117)と自然妊娠群(n=64)を比較検討しました。
結果:
二卵性双胎妊娠における早期発症 PE率 および胎児発育不均衡(>20%)の発生率は、体外受精PE群が 自然妊娠PE群より高くなりました(78.60% vs 43.80%, P < 0.001, 11.10% vs 25.00%, P = 0.015)。体外受精(aOR=4.635、95%CI:2.130-10.084、P < 0.001)および胎児発育不均衡(aOR=3.288、95%CI:1.090-9.749、P < 0.05)は、早期発症PEの発生率を増加させることがわかりました。

≪私見≫

sFlt-1やsEngの血清レベルは、34週未満PE患者で有意に上昇していることがわかっていますが、妊娠初期体外受精双胎妊娠では自然双胎妊娠より高値になることもわかっていますし、妊娠中期のAFP値が体外受精妊娠で自然妊娠より高いことがわかっています。ホルモン補充周期凍結融解胚移植を減らせば解決するのか、ホルモン補充周期凍結融解胚移植でもアスピリンを服用すると低下するのかが今後の焦点だと思っています。

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文責:川井清考(院長)

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