PGT結果に影響を与える胚因子( J Assist Reprod Genet. 2024)
PGT結果は胚盤胞のグレードが高い方が良いと皆が考えています。
今回、わかりやすい指標(Gardner分類、凍結日、ハッチングの有無)でPGT結果がどうなるか示した報告をご紹介いたします。
≪ポイント≫
PGT-A周期の正常核型胚率はGardner分類がよく、5日目胚盤胞でハッチングしている胚が高いことがわかりました。
≪論文紹介≫
Mireia Florensa, et al. J Assist Reprod Genet. 2024 Feb 22. doi: 10.1007/s10815-024-03061-5.
PGT-A周期において、生検前の胚盤胞の質、生検日、ハッチング状態は、異数性または凍結後胚生存率のいずれかに影響を及ぼすかどうかを調査しました。1,849周期(2016~2022年)のPGT-Aから生検された胚盤胞6,130個におけるレトロスペクティブ研究です。胚は、Gardner分類(優良胚:AA、良好胚:AB、BA、BB、不良胚:AC、CA、BC、CB、CC)、生検日(5日または6日)、およびハッチング状態(full hatching[FHB]またはnon-full hatching[nFHB])にて、正常核型胚率および生存率の独立した関係を評価しました。
結果:
優良胚は良好胚および不良胚よりも正常核型胚率が高く(52.69%、39.69%、26.21%;p<0.001)、5日目生検胚は6日目生検胚よりも正常核型胚率が高くなりました(39.98%、34.80%;p<0.001)。優良胚(92.26%)および良好胚(92.47%)の生存率は、不良胚(84.61%)の生存率よりも高くなりました(p = 0.011およびp = 0.002)。5日目生検胚は6日目生検胚よりも生存率が高く(93.71% vs 83.69%;p<0.001)、FHBはnFHBよりも生存率が低くなりました(78.61% vs 93.52%;p<0.001)。
≪私見≫
IVIRMA Barcelonaで実施された研究です。1,732周期が自己卵子、117周期がドナー卵子でした。PGT適応として、母体高齢1,401周期(75.79%)、着床不全119周期(6.42%)、不育95周期(5.14%)、男性因子177周期(9.57%)、その他57周期(3.08%)でした。
この報告を紹介した面白さは凍結日とGardner分類の関係です。
正常核型率はday5 優良胚→day6 優良胚→day5 良好胚→day6 良好胚→day5 不良胚→day6 不良胚の順番になっています。細胞が増えそうなのであれば早く生検するより一日待って生検するのがよいのかもしれません。
文責:川井清考(院長)
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