一般不妊治療早期ドロップアウトの要因(Hum Reprod. 2024)
不妊治療のドロップアウトには治療内容、心理状態、患者背景などが関連していて、不妊治療における教育・支援プログラムは不妊治療ドロップアウトを減らせる可能性が報告されています。費用負担がない状態での一般不妊治療における早期ドロップアウトの要因を調査した報告をご紹介いたします。
≪ポイント≫
治療費が全額補償される中で、若年・高齢であること、家庭収入が少ないこと、ちゃんと診られていないのかもと感じさせることが早期ドロップアウトにつながっていることがわかりました。
≪論文紹介≫
Khaoula Ben Messaoud, et al. Hum Reprod. 2024 Jan 5;39(1):102-107. doi: 10.1093/humrep/dead226.
治療費が全額補償される中で、一般不妊治療の早期ドロップアウト要因を調査することを目的としました。
フランスの国民健康保険と病院のデータベースを用いて、2017年にCC/ゴナドトロピンによる治療に失敗した18~49歳の女性27,416名のコホートを用いた研究です。
治療不成功に終わってから1~3ヵ月以内に治療ドロップアウトした要因を比較検討しました。
結果:
CC/ゴナドトロピンによる治療に失敗した女性のうち、22%が3ヵ月以内に不妊治療からドロップアウトしました。多変量解析では、早期ドロップアウトの因子として、高齢および若年(35歳以上および25歳未満)、貧困層、家庭医からのCC治療、ホルモン検査・超音波検査・頚管粘液検査を受けていないことと関連していました。
≪私見≫
不妊治療患者が最終的に生児を授かれる大事な要素として治療継続することがポイントとしてあります。治療継続は患者様の強い意志だけにより達成されるわけではなく、継続でき得る治療を提案すること・説明を行うことも重要な要素となってきます。体外受精治療だけではなく、一般不妊治療にも通じるところなんだと再認識いたしました。
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文責:川井清考(院長)
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