正常核型胚移植に胚盤胞グレードは関係する?(Reprod Med Biol. 2024)

正常核型胚移植を行う際、以前の胚盤胞形態学的グレードは成績に関係するかどうかを調査した国内報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

正常核型胚移植を行う際、形態学的評価(特にICM)が良好なものから移植することが好ましそうです。

≪論文紹介≫

Takahiro Suzuki, et al. Reprod Med Biol. 2024. doi: 10.1002/rmb2.12560

国内生殖医療施設451症例の単一正常核型胚移植のレトロスペクティブ解析を行いました。胚は、胚盤胞拡大グレード、ICM、TEのガードナー分類による形態評価、および胚盤胞凍結日を評価対象としました。主要評価項目として、形態学的に低グレード胚盤胞(ICM/TEでCがついた胚盤胞)vs. 中・高グレード胚盤胞の妊娠転機としました。
結果:
妊娠転帰は、形態学的に低グレードの胚盤胞では中・高グレードの胚盤胞と比較して有意に低くなりました。正常核型胚移植においても、形態学的評価の特にICM評価は生児獲得率と関連していることが分かりました。
 ○中・高グレードの胚盤胞群
 着床率:64.5%、妊娠率:52.6%、生児獲得率:42.2%、流産率:22.3%
 ○低グレードの胚盤胞群
 着床率:41.7%、妊娠率:27.1%、生児獲得率:18.8%、流産率:22.9%

≪私見≫

今回の検討では、ICM以外の胚盤胞拡大グレード、TE形態評価、および胚盤胞凍結日では差がなかったのも興味深い結果だと感じています。
正常核型胚移植において形態学的良好胚のほうが成績がよいという報告の方が現状は多くなっています。
※正常核型胚移植において形態学的良好胚のほうが成績がよい
 Irani M, et al. Fertil Steril. 2018; 110(1): 95–102.
 Lou H, et al. J Ovarian Res. 2021; 14(1): 18.
 Irani M, et al. Fertil Steril. 2017; 107(3): 664–670.
 Zhang WY, et al. J Assist Reprod Genet. 2022; 39(3): 647–654.
 Shear MA, et al. Reprod Biomed Online. 2020; 41(6): 981–989.
 Peng X, et al. Reprod Biol. 2020; 20(4): 496–500.
※正常核型胚移植において形態学的評価は成績に関係しない
 Capalbo A, et al. Hum Reprod. 2014; 29: 1173–1181.
 Viñals Gonzalez X, et al. J Assist Reprod Genet. 2019; 36(8): 1623–1629.

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文責:川井清考(院長)

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