ChatGPTの不妊治療分野での活用(Hum Reprod. 2024)

Fertil Steril.につづき、Hum Reprod.でもコメントが出ました。
ChatGPTを含めた生成AIを活用しないことを主張する時期でなく、どのように有効活用するかを考える時期だと思っています。
以前、2023年ChatGPTの不妊におけるアドバイスは、もう一歩(Fertil Steril. 2023)という記事をご紹介しました。私自身も、患者の質問に対する回答をChatGPTに投げかけていますが、自身の専門分野に関しては未だ未だChatGPT回答の正答度は低いような印象をうけます。ただし、この一年でも比較にならないほど求めるレスポンスが改善しました。患者様は医学的根拠を調べるためにChatGPTを使用するのは正誤が確認できない以上リスクがありますが、医療関係者は食わず嫌いをやめて生成AIに向き合うべきだと感じています。
Hum Reprod.のコメントも載せておきたいと思います。

≪論文紹介≫

Kiri Beilby, et al. Hum Reprod. 2024 Jan 10:dead272. doi: 10.1093/humrep/dead272.

ChatGPTのような生成AI言語モデルは、不妊治療分野においても意思決定に役立つ情報を収集するための有効なツールです。
ググると表現されてきた「グーグル検索」のようなキーワード検索と比べて、生成AIの方が、簡単な質問に対する回答を得るためには、より速く、同様に正確な手段であることを実証する研究が現れ始めています。
現段階では、医療従事者の方がChatGPTに比べて、専門分野に関しては、経験や国内ガイドラインなどをふくめた臨床的診断・治療に関して、倫理的な背景を含めて適切なアドバイスができることは間違いなさそうです。
スマートAIチャットボットは、参照するページを指定しない限り、ネット上のクリニックのウェブサイト、ソーシャルメディア、企業間マーケティングの肯定的な説明に影響をうけ、医学的に正確ではない回答を導きだす可能性があります。
URL指定などの正しい情報を導き出す、効果的なプロンプトの力を理解することで、ユーザーはChatGPTから医学的な正しい知識・アドバイスを得ることができる可能性が出てきています。

#生成AI
#ChatGPT
#ソーシャルメディア
#臨床活用
#亀田IVFクリニック幕張

文責:川井清考(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。

当ブログ内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

亀田IVFクリニック幕張