ソーシャルメディアが患者の医療機関選択に与える影響(J Assist Reprod Genet. 2024)

アメリカでは生殖医療専門施設に受診する前に家庭医のところに受診していることが一般的です。かかりつけ医がある状態で、生殖医療専門施設を選ぶうえでのソーシャルメディアが与える影響を調査した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

YouTubeなどのソーシャルメディアは、妊活患者を教育し、治療中のサポートやストレス解消に役立つ可能性があります。

≪論文紹介≫

Zachary Walker, et al. J Assist Reprod Genet. 2024 Jan 17. doi: 10.1007/s10815-023-03012-6.

2022年7月におこなったネット調査です。主要評価項目は、ソーシャルメディアに費やした時間(1時間未満、1~3時間、3時間以上)に基づいて、生殖医療施設をみつけるための方法を調査しました。
結果:
18-50歳の336回答を検証しています。回答者の54%がソーシャルメディアに1時間未満、33.33%が1~3時間、12.80%が3時間以上を利用していました。回答者の大多数(69.05%)は、妊娠しない場合は生殖医療施設と探すと答えました。ほとんどの回答者は、探す手段として、かかりつけ医に尋ねる(44.64%)とし、ソーシャルメディアの利用は優先しませんでした。Facebook(1時間未満:30.94%、1~3時間:31.25%、3時間以上:27.91%)が最も利用されているソーシャルメディアプラットフォームでした。回答者が生殖医療施設をフォローする場合は、YouTubeが好まれるソーシャルメディアプラットフォームであり、教育(1時間未満:55.68%、1~3時間:43.12%、3時間以上:58.14%)またはストレス管理(1時間未満:17.61%、1~3時間:29.36%、3時間以上:20.94%)に焦点を当てた投稿が好まれました。

≪私見≫

ソーシャルメディアは若年層では年々拡大し続けており、今後はより大きなウェイトを占める可能性があります。妊活カップルに対して生成AI、チャットボット、ウェブページ、静止・動画チャンネルなどを利用し、よくある質問(FAQ)や診断・治療に関する基本的な不妊症情報を提供することが有用と考えられます。

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文責:川井清考(院長)

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