卵子凍結は胚盤胞異数性を上昇させない(J Assist Reprod Genet. 2023)

卵子凍結はノンメディカル、メディカル共々、増加の傾向にあります。
まだまだ、新鮮卵子での治療に比べて成績が落ちる可能性は否めませんが、胚盤胞形成まで到達した場合における染色体異常が増えるかどうかは結論がでていません。同一周期にsibling oocytesを2群にわけて検討した報告では差がありませんでしたが、平均年齢29歳代と若かったため、異数性が増え始める年齢層での報告が気になっていました。36歳前後での凍結卵子では新鮮卵子に比べて異数性が増えるかどうか調査した報告をご紹介します。

≪ポイント≫

新鮮卵子/凍結卵子に関わらず、胚盤胞まで胚発生した着床前検査の正常胚、モザイク胚、異数性胚の割合に差は認められませんでした。

≪論文紹介≫

Shelun Tsai, et al. J Assist Reprod Genet. 2023 Oct;40(10):2419-2425. doi: 10.1007/s10815-023-02901-0.

2017年1月1日から2021年12月31日に単一生殖医療施設で初回卵子凍結を行い、その後 体外受精を実施し着床前検査をおこなった患者を対象としました。同施設で新鮮卵子を用いた最初の体外受精周期を実施し、着床前検査をおこなった患者を、1対3で女性年齢にてマッチドペアを実施・比較しました。評価項目は正常胚、モザイク胚、異数性胚の割合としました。
結果:
117名1,272個の凍結卵子と351名5,081個のコントロール新鮮卵子を比較検討しました。平均女性年齢は36.9±2.6歳で、卵子凍結から融解までの間隔の中央値は38ヵ月でした。成熟卵子数(10.9±4.9個 vs.11.1±6.3個、P = 0.67)、受精卵数(7.8±4.0個 vs.8.7±5.5個、P = 0.10)、胚盤胞数(5.1±3.1個 vs.5.8±4.3個、P = 0.10)は、凍結卵子と新鮮卵子で差がありませんでした。着床前検査結果は、正常胚(40.1% vs.41.6%)、モザイク胚(15.7% vs.12.0%)、異数性胚(44.3% vs. 46.4%)に差は認められませんでした(P = 0.06)。
正常胚、モザイク胚、異数性胚の割合は、35歳未満、35-37歳、38-40歳、41歳以上で年齢別にみても差がありませんでした。

≪私見≫

新鮮卵子/凍結卵子に関わらず、胚盤胞まで胚発生した着床前検査の正常胚、モザイク胚、異数性胚の割合に差は認めないのは、過去の同一卵巣刺激でのsibling oocytes(平均年齢29.9±2.3歳、正常卵巣予備能女性44名)を用いたFormanらのランダム化比較試験でも同様の結果でした。
Eric J Forman, et al. Fertil Steril. 2012 Sep;98(3):644-9. doi: 10.1016/j.fertnstert.2012.04.028.

卵子凍結という技術は減数・有糸分裂異常に大きな影響は与えなさそうですね。

文責:川井清考(院長)

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