G-CSFがAMHを増加させる可能性(Reprod Biol Endocrinol. 2023)

G-CSF投与はアポトーシス、炎症、血管障害、酸化ストレスを抑制するとされています。動物実験では、G-CSFは糖尿病ラットの卵胞変性と血清AMHの低下を抑制、シスプラチン投与ラットにおいて、始原卵胞、一次卵胞、二次卵胞、三次卵胞の数の増加の報告など複数認められています。
また、体外受精治療でも反復着床不全患者などでも使用されています。
卵巣予備能患者に対しての前周期G-CSFプライミングがAMHを増加させ、体外受精成績を改善したとする国内からのRCTをご紹介いたします。

≪ポイント≫

前周期黄体期初期のG-CSFプライミングは、卵巣予備能の低い患者において、ARTの胚発育および妊娠率を改善し、AMHを増加させる可能性が考えられます。

≪論文紹介≫

Masao Jinno, et al.  Reprod Biol Endocrinol. 2023 Mar 21;21(1):29. doi: 10.1186/s12958-023-01082-w.

ART治療前のG-CSFプライミングが、卵巣予備能の低下した患者において血清AMHに与える影響、生殖医療精液との関連を調査した前向き無作為化非盲検対照試験です。2014年5月から2018年11月にAMH 2ng/mL未満の20~42歳の患者100人をG-CSFプライミング群と対照群(各50人)に行いました。2回以上のART不成功、day3 FSH >30IU/L、子宮形態異常、無精子症パートナーは対象に含まれていません。全例にまず一般不妊治療(タイミング・人工授精)を2周期連続で行い、G-CSFプライミング群には黄体期初期にG-CSFプライミング注射(レノグラスチム100μg;ノイトロジン)を皮下投与しました。各群は、HMG300単位を用いたロング法を1周期行いました。
結果:
受精率、胚発生、着床率は、G-CSFプライミングにより改善しました。新鮮胚移植による臨床妊娠率および継続妊娠率は、G-CSFプライミングにより高くなりました(G-CSFプライミング群 13/47 vs. コントロール群 7/49)。G-CSFプライミング群50名の累積生児獲得率は32%で、コントロール群49名の14%より高くなりました(RR、2.8;95%CI、1.04-7.7)。G-CSFプライミング群の生児には、先天異常はなく、群間の出生児体重、出生週数、アプガースコアには差を認めませんでした。女性年齢、day3 FSH、AMH、G-CSFプライミングにおけるロジスティック回帰分析では女性年齢とG-CSFプライミングが累積生児獲得率と関連を示しました。また、G-CSFプライミングは血清AMHを増加させました。

≪私見≫

国内からのRCT報告、嬉しいですね。
卵巣予備能低下患者への取り組みは様々なされています。
ヒト卵巣へのPRP注入は、卵巣予備能マーカーおよび臨床的妊娠率を改善することが報告されていますが、G-CSFプライミングの方が費用・侵襲度ともに軽微ですので自費診療となりますが、試用してみる価値はありそうです。

文責:川井清考(院長)

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