ご来院の方へ 流産手術
1.流産手術の適応
流産とは、妊娠22週より前に妊娠が終わってしまうことを言います。全妊娠の15%前後が流産に至るとの統計もあります。
流産全体の80%近くを、妊娠12週未満の早い時期での流産が占めます。その原因として最も多いのが、受精卵側の異常(染色体等の異常)と言われており、妊婦さんの日常生活などに起因するものではありません。
流産は子宮の中身が完全に排出される「完全流産」の場合と、一部が子宮内に残る「不全流産」、子宮内妊娠が確認されたが、その後の発育・心拍が認められずに子宮内に留まっている「稽留流産」の場合があります。「不全流産」「稽留流産」の場合、流産手術を行うか、自然に排出されるのを待機するか、経過をみて判断します。
自然待機とした場合には、出血や腹痛により救急受診となることが多いため、1週間ほどで自然排出しない場合には流産手術を検討します。
2.流産手術とは
手術器具を子宮内に挿入し、子宮の中にある組織(絨毛成分や胎児成分)を摘出します。初期流産手術では、一般的に「掻把法」と「吸引法」があります。「吸引法」のうち、特に子宮や身体への負担が少なく、WHO(世界保健機構)にも推奨されているのが「MVA法(手動真空吸引法)」です。MVA法は、初期流産(妊娠11週6日目まで)に対して2018年4月より保険適用となっています。プラスチック製のやわらかいカニューレを使用するため、痛みが少なく、また子宮を傷つけるリスクもほとんどありません。手術自体は5分〜15分程度で終了します。絨毛性疾患が並存してることもありますので子宮内容物は病理検査に提出します。
3.手術の合併症
出血 | 通常は出血の少ない手術ですが、稀に出血が多くなることがあります |
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感染 | 稀に術後子宮内に感染が起きることがあります。予防として抗生物質の内服をしていただきます。 |
疼痛 | 術後数時間は疼痛があります。鎮痛薬内服で多くの場合は対処可能です。 |
子宮穿孔 | 非常に稀なことですが、手術により子宮に穴があいてしまうことがあります。 この場合、状況によっては内視鏡や開腹手術が必要となることがあります。 |
子宮内容遺残 | ほとんどの場合、残った子宮内容物は術後自然に排出されますが、遺残が多く再手術を必要とすることがあります。 |
4.手術当日の流れ
亀田総合病院(鴨川)、亀田IVFクリニック幕張ともに日帰り手術で行っております。
- 手術当日に受診して頂き、必要があれば子宮の入り口(頸管)を広げる処置を行い、麻酔下に子宮内容物を除去する手術を施行します。
- 術後2時間程度お休みいただき、診察後にお帰りいただきます。
- 術後1~2週間後に外来受診となります。
5.麻酔
静脈麻酔(点滴から薬が入って眠る方法)で行います。
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