精子DNA損傷検査法ハロースパームの紹介

今回は当院で行っている精子DNAの損傷の有無を調べる検査の一つであるハロースパームについてお話します。

男性不妊の診断には主に精液検査が使用されています。これは採取して頂いた精液の中にいる精子の数・運動性・動きを見ます。精液検査では、ある意味、見た目の数だけで精子の良し悪しを決めます。今回、紹介するハロースパームは見た目では分からない精子DNAの損傷の有無を調べる検査になります。

精子DNAの損傷は受精卵の発育へ悪影響を及ぼし、また、流産率を上げると言われています。当院では男性不妊のより詳細な診断としてハロースパーム検査を行っています。

簡単にハロースパームの原理を説明します。DNAは下の図のようにループ状になっています。

画像提供元 OIST(沖縄科学技術大学院大学)

精子をスライドガラス上で薬剤処理により細胞膜と核タンパクを除去すると、DNAのループ構造がほぐれて、DNAが正常であれば精子頭部の回りに赤紫色の輪(Halo;ハロー)が見られますが(下の写真①②)、DNAが異常(断片化している状態)だとHaloが小さい、あるいは見られません(下の写真③④⑤)。

ハロースパーム試験では、全精子を固定染色して、上記5分類に分けて数え、③④⑤の異常精子の合計が全体に占める割合を調べます。当院では、この検査で精子DNAに損傷がある異常精子の割合が30%を超えた場合、異常と診断して体外受精を行う際の受精方法の決定、あるいは男性不妊外来に掛って頂く等の判断に活かしています。

当クリニックで行っている男性不妊の検査の一つであるハロースパーム試験について知って頂ければ幸いです。

文責:平岡謙一郎(培養室長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。

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