精液検査どこまで良いと妊娠しやすくなるの?_その2(論文紹介)

Sorena Keihaniらの示した、より自然妊娠しやすい精液検査の適した値をご紹介いたします。

≪論文紹介≫

Sorena Keihani, et al.Hum Reprod. 2021. DOI: 10.1093/humrep/deab133.

●自然妊娠群

自然妊娠群(5,126組)では、5年以内の自然妊娠率は59.5%で、妊娠までの期間の中央値は27(26~30)カ月でした。
自然妊娠群のサブグループ解析では、WHOの基準値に基づいて、精子濃度が1,500万/mL以上の男性では妊娠の可能性が71%高く(HR:1.71、95%CI:1.48-1.98)、前進運動率が32%以上の男性では65%高く(HR:1.65、95%CI:1.47-1.84)、総精子数が3,900万以上の男性では70%高くなりました(HR:1.70、95%CI:1.47-1.95)。
5年後の妊娠をより正確に予測するために算出された閾値は、濃度が3,500万/mL、運動性が40%、総精子数が9,500万となりました。
早期妊娠を達成するための最適な総前進精子数の閾値は5,500万であり、妊娠する確率が55%高くなりました(HR:1.55、95%CI:1.41-1.70)。

●女性因子のない自然妊娠群

1,669人[27%:卵管因子(n=199、12%)、子宮因子(n=154、9%)、排卵因子(n=1211、72%)、加齢因子(n=341、20%)]の女性因子を除く自然妊娠群では、これらの診断を受けていない3,753組のカップルで5年以内の自然妊娠率は62%で、妊娠までの期間の中央値は23.5(21.5~25.4)カ月でした。
女性因子をない自然妊娠群のサブグループ解析では、精子濃度が1,500万/mL以上の男性で78%(HR:1.78、95%CI:1.52-2.08)、前進運動率が32%以上の男性で69%(HR:1.69、95%CI:1.50-1.91)、総精子数が3,900万以上の男性で80%(HR:1.80、95%CI:1.54-2.11)、自然妊娠の確率が高くなりました。
5年後の妊娠をより正確に予測するために算出された閾値は、濃度が4,000万/mL、前進運動率が35%、総精子数が9,500万となりました。
早期妊娠を達成するための最適な総前進精子数の閾値は2,000万であり、妊娠する確率が80%高くなりました(HR:1.80、95%CI:1.58-2.06)。

より適した値
(自然妊娠群)
より適した値
(女性因子のない自然妊娠群)
WHO2010基準値
精子濃度 3,500万/mL 4,000万/mL 1,500万/mL
前進運動率 40% 35% 32%
総精子数 9,500万 9,500万 3,900万
総前進精子数 5,500万 2,000万 基準値なし

文責:川井清考(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。

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