反復流産女性における凍結融解胚移植後の早産/低体重出生予後(Fertil Steril. 2024)

【はじめに】

不育症女性から生まれてくる児は胎盤機能不全に関連する周産期合併症リスクが高まる可能性が報告されています。同様に、生殖補助医療を受けた女性から生まれてくる児も、自然妊娠と比較して低出生体重や早産などの周産期合併症リスクが高いことが知られています。生殖補助医療は標準的な不育症治療ではありません。不育症患者が生殖補助医療をすることにより、周産期合併症リスクが相乗効果で増悪するのか軽減する部分もあるのか今のところわかっていません。生殖補助医療治療を受けた不育症患者の早産/低体重出生リスクを調査した報告をご紹介いたします。

【ポイント】

反復流産既往がある女性が凍結融解胚移植を受けた場合、不妊や反復流産既往がない女性と比較して早産/低体重出生リスク増加はみられません。

【引用文献】

Virginia-Arlene Go, et al. Fertil Steril. 2024 Oct 18:S0015-0282(24)02310-0. doi: 10.1016/j.fertnstert.2024.10.016.

【論文内容】

反復流産以上の既往がある女性から凍結融解胚移植にて生まれた児が、不妊症や反復流産既往がない女性から凍結融解胚移植にて生まれた児と比較して、早産/低体重出生リスクが高いかどうかを評価することを目的としました。
2014年から2020年にかけてのSART CORSデータベースを用いたレトロスペクティブコホート研究です。
SART CORSデータベースで反復流産以上の既往があり初回凍結融解胚移植で妊娠・出産に至った女性3,299名と不妊症や反復流産既往がない(卵管結紮症例)初回凍結融解胚移植で妊娠・出産に至った女性1,408名を対象としました。
主要評価項目は低出生体重(<2,500 g)で、副次的評価項目には在胎週数(連続変数)、出生体重(連続変数)、早産(<37週)、分娩方法、および新生児死亡(生後28日までの死亡と定義)としました。
結果:
反復流産以上の既往がある女性から初回凍結融解胚移植にて生まれた児は、卵管結紮の女性から初回凍結融解胚移植にて生まれた児の間で、低出生体重、全体的な出生体重、分娩方法、または新生児死亡のリスクに差は認められませんでした。反復流産以上の既往がある女性から初回凍結融解胚移植にて生まれた児はむしろ在胎週数が長い傾向があり、早産リスク(補完調整オッズ比0.75; 0.64–0.89)も低いことがわかりました。両患者群でPGT-Aを実施しても、PGT-Aを実施しなかった患者と比較して周産期予後に変化はありませんでした。

【私見】

通常は不育症群のほうが早産・低出生体重児が多い印象があります。今回、差がつかなかったのは、卵管結紮群はBMIが高く喫煙者の割合も多いため、妊娠高血圧症候群などのリスクが高まり早産傾向になったこと、未測定の交絡因子の存在などが関係するのかもしれません。今回の研究ではベースの早産率が高かったことで反復流産での早産素因が埋もれた可能性も否定できません。追試を注視していこうと思います。

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文責:川井清考(院長)

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