卵子提供高齢女性における排卵周期vs.ホルモン補充周期の成績比較(J Assist Reprod Genet. 2024)

ドナー卵子が凍結卵子を用いる場合、レシピエント女性は排卵周期でもホルモン補充周期でも内膜調整は可能ですが、成績はどちらのほうが良いか調査した報告をご紹介いたします。

【ポイント】

卵子提供高齢女性における排卵周期vs.ホルモン補充周期の妊娠継続率は同等でした。

【引用文献】

Gavilan C, et al. J Assist Reprod Genet. 2024. Doi: 10.1007/s10815-024-03376-3

【論文内容】

ドナー凍結卵子を用いたレシピエント女性における内膜調整が排卵周期とホルモン補充周期で成績に差がでるかどうか調査することを目的としたレトロスペクティブコホート研究です。
2021年から2024年に卵子提供による新鮮単一胚盤胞移植220周期を対象とし、子宮内膜調整方法により排卵周期(mNC)群(n=105, 47.7%)とホルモン補充周期(HRT)群(n=115, 52.3%)にて妊娠継続率を検証しました。
結果:
両群間でドナー年齢(24.8歳 vs 25.1歳)、レシピエント年齢(42.3歳 vs 42.8歳)、BMI、精子由来に差はありませんでした。妊娠継続率はmNC群(44.8%)とHRT群(40.0%)で同等で、差は認められませんでした(p=0.47)。mNC群では、HRT群と比較して有意に高いプロゲステロン値を示しました(26.45 vs 16.63、p<0.001)。ドナーおよびレシピエントの年齢、BMI、精子由来、プロゲステロン値、子宮内膜厚を踏まえた多変量解析においても、妊娠継続率に差は認められませんでした。

【私見】

卵子提供患者は周産期合併症が高いことで知られています。その観点からいくと成績が変わらないのであれば排卵周期凍結融解胚移植で内膜調整をしたほうが良い気もします。ただ、受診調整が難しく海外で卵子提供をおこなっている国内患者様はほとんどがHRT周期であるのが実情です。
国内で一般的に卵子提供ができるようになったときの課題のひとつかと思います。

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文責:川井清考(院長)

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