反復着床不全患者の事後妊娠率(J Assist Reprod Genet. 2024)

反復着床不全と判断した患者様が、その後どの程度妊娠・出産に至っているかって大事な問題ですよね。正常胚を5回戻すと98%近く出産するという報告もありますが、現実問題そこまで楽観的な説明ができないのも事実です。
過去の報告では反復着床不全患者の事後累積生児出生率は50%に満たない報告が多いです。
最大5.5年間の追跡調査期間中に、反復着床不全患者の49%が生児出生、1年では25%
 Koot YEM, et al. Hum Reprod. 2019;34(10):2044–52.
反復着床不全患者の生児出産率は25.8%
 Jia Y, et al. Front Med (Lausanne). 2024;11:1348733.
前向き研究での反復着床不全外来受診した後の事後妊娠継続率を評価した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

PGTを除外した場合、38歳までの患者であれば反復着床不全であった場合、その後1年での事後妊娠継続率は4割前後でした。

≪論文紹介≫

Linda B P M Stevens Brentjens, et al. J Assist Reprod Genet. 2024 Sep 30. doi: 10.1007/s10815-024-03257-9.

反復着床障害(RIF)を繰り返す患者における妊娠率、妊娠までの期間、妊娠への胚移植を調査することを目的としました。RIF外来に紹介されたRIF患者を対象としました。対象患者には、登録から1年後にアンケート調査を実施しました。RIFは、高品質の胚を3回移植、または10個以上の胚を移植しても着床しない場合と定義しました。高品質胚の定義はday2 4cell以上、day3 7cell 以上、day4 morula A もしくはGardner 1,2胚盤胞、day5-6 Gardner 3以上、Cがつかない胚としました。
結果:
79名RIF患者における追跡期間1年後の継続妊娠の累積発生率は40.5%(95%CI 30.4–51.5%)でした。妊娠までの期間の中央値は4ヶ月でした。妊娠率は胚移植5回(ほとんどが単一胚移植)まで徐々に増加し、妊娠までの胚移植の平均回数は7.3回でした。

≪私見≫

今回報告したオランダの反復着床不全外来では、下記を重点的に指導していました。
妊娠しやすい体作りの指導ですね。意外と患者様自身できることも大事なんだと思います。
① 喫煙、アルコールの過剰摂取、カフェインの大量摂取(1日200mg以上)の改善
② BMI 25以上の場合は減量と運動
③ 子宮内膜厚が薄い場合は治療プロトコルの変更
④ ビタミンD値を測定した補正
⑤ 子宮内膜細菌叢の補正のための3ヶ月の補充+再検査
(改善ない場合はそのまま治療)

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文責:川井清考(院長)

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