卵子の保管場所について(その二)

今回は卵子凍結の際、保存容器に乗せる卵子の数が状況により1~3個に変わることを説明します。

前回の記事で保存容器に最大2個ずつ卵子を乗せると一つの保管スペースに最大20個を、最大3個ずつ卵子を乗せると一つの保管スペースに最大30個を保管できることを説明致しました。これは理論上の話で、実際の話となると状況は変わります。安全上の理由から一つの保存容器に乗せる卵子の数は最大3個までとしています。

しかし、必ずしも一つの保存容器に3個乗せる訳ではありません。
仮に1回の採卵で、卵子が4個採れて凍結をする場合、考えられるパターンは4つあります。
① 1-1-1-1(保存容器4つ使用)
② 2-1-1  (保存容器3つ使用)
③ 2-2    (保存容器2つ使用)
④ 3-1    (保存容器2つ使用)

凍結した卵子を融解するときは一つの保存容器に3個乗せている場合、3個全て一緒に融解することになります。一つの保存容器に乗っている3個中2個だけ融解、3個中1個だけ融解、はできません。卵子を4個凍結していて、例えば、そのうち2個だけ融解して使いたい場合、上の④のパターンでは「2個だけ融解」はできません。採れた卵子の数が3の倍数でないときの端数の卵子をどう保存するかは解凍するときに、何個ずつ使いたいのかを考える必要があります。

卵子凍結の実際の現場では、この3の倍数、そして端数の他に卵子の成熟度も保存容器に卵子を何個乗せるのかに大きく影響します。

次回の記事ではこれらのことについて触れたいと思います。

文責:平岡謙一郎(培養室長)

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